技術の概要
スパイラルアンカー工法は、既設コンクリート構造物を対象としたせん断補強工法です。既設躯体を削孔して削孔内面を目粗し処理した後、定着剤を注入し、補強鉄筋を挿入・固定して完了するシンプルな施工方法です。専用の特殊ビットによって削孔壁面をスパイラル状に目粗し処理し、補強鉄筋としてTPナット鉄筋を使用することによって既設躯体との定着力が向上し、確実なせん断補強が可能です。
技術の特徴
- 削孔後、コア孔壁面を特殊なビットで目粗し処理します。これにより補強鉄筋の引抜き抵抗力が増強され、必要な定着力を確保できます。
- 補強鉄筋の端部にTPナットを取り付けることにより確実な定着を確保できます。また、TPナットはコンパクトな装置により現場での取り付けが可能です。
- 補強鉄筋設置のための削孔はダイヤモンドコアドリルにより行うため、工事中の振動・騒音がほとんどありません。また、既存構造物に微細クラックを発生させるなどの悪影響を及ぼすこともありません。


メリット
- 孔壁面の目粗し処理と、補強鉄筋端部に機械式定着を用いることにより、耐震性等に対する補強効果が向上します。
- 補強鉄筋にTPナットを適用することにより、定着長が短縮されるとともに少ない鉄筋量で効率的な補強が可能です。
- ダイヤモンドコアドリルによる施工であるため大型の重機や特殊な設備が不要となり、施工性が向上し、狭隘な空間でも施工可能です。
- 実績
-
- 1)送電鉄塔基礎のせん断補強(H18.5他)
- 2)橋脚の水中補強(目粗し技術の応用)(H11.5他)
- 適用工種
- 鉄筋コンクリート構造物全般