背景
竣工後20年を超え、各種設備が大規模修繕期を迎えた高層オフィス棟、ホテル棟、スポーツ棟からなる大規模複合施設において、単なる設備の更新ではなく、空調負荷を削減するための改修をした上で、空調・熱源システムを再設計する等の総合的な改修手法により、経済性を考慮した上で、快適性と省CO2性の向上を図る、省エネ総合改修を提案・実施しました。
大規模複合施設の概要
大規模複合施設のJ.CITYは、「水と緑と光」をテーマに「地域」「環境」に「オフィス、ホテル、スポーツ施設の3つの空間機能」をジョイントさせ、生活空間に新たな価値空間を創出する、潤いと安らぎのオアシスとして1993年12月に竣工しました。光が丘公園や光が丘団地に近接しています。
建物の特徴としては、大規模複合施設でありながら全電化となっています。

- ①建物名:J.CITYビル
- ②所在地:東京都練馬区
- ③主用途:オフィス・ホテル・スポーツ施設
- ④敷地面積:16,287m2
- ⑤延床面積:62,995m2
- ⑥階数:地上24階、地下3階
- ⑦竣工年月:1993年12月(竣工)、2019年2月(改修工事)
- ⑧建築主:光が丘興産株式会社、共栄火災海上保険株式会社、前田建設工業株式会社、損害保険ジャパン株式会社
- ⑨設計者:前田建設工業株式会社一級建築士事務所
- ⑩施工者:株式会社エフビーエス(改修)
- ⑪CASBEE:―
- ⑫受賞歴:第6回 省エネルギー建築賞 審査委員会奨励賞、1994年 グッドデザイン賞
改修概要
過去のBEMSデータ分析や高度数値解析に基づき、外皮・空調・換気・照明・配電の多岐に亘り既存仕様を再設計。運用エネルギーを一般施設比0.44(▲56%減)とする既存ビルのZEB Ready化と同時に、東日本大震災後の節電対策に伴い低下し始めている労働環境の回復とBCP力向上を図る総合省エネ改修を計画しました。
省CO2への主な取り組み
- ●建物熱負荷の削減
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- 最新LED器具への改修による照明高効率化・冷房負荷削減と、既存単板ガラスの室内側にLow-Eガラスを付設し複層化させる高断熱化
- ●空調・熱源システムの再設計とBCP力向上
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- 地下躯体利用水蓄熱槽の縮小・高断熱化改修、過去BEMSデータの分析と熱負荷再計算により、熱源構成の変更・最適化と容量縮小
- 蓄熱槽の縮小で生まれた遊休槽の非常時貯水槽への転換、既設太陽光発電の自立運転・蓄電化による非常時電源を確保
- ●BEMS高度化改修と電力見える化
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- 熱源機制御、空調中央制御化、設備間協調制御に向けたオープンシステム化とサイネージパネルの設置によるBEMS高度化改修


改修目標と実績

