八峰風力発電事業

八峰風力発電事業 八峰風力発電事業
施設用途 風力発電
場所 秋田県山本郡八峰町
発電規模 19,950kW(GE 3,200kW×7基)
工事開始 2017年6月~
運営開始 2019年2月~
施設概要 メーカー:GE 施工者:前田建設工業(株)

白神山地を望む海岸に立つ風車群
前田建設が担う
再生可能エネルギー事業

営業開始前の予想を上回る発電量を実現
日本屈指の風力発電の適地・八峰町

秋田県の北西部の八峰町は北に白神山地を望み、青森県と接する最北部に位置しています。風力発電に適していると言われる東北地方の日本海側の中でも八峰町は、冬を中心に特有の北西からの強い季節風が吹く日本屈指の適地。八峰風力発電所はその海浜地で7基の風車を稼働しています。
発電規模は19,950kWで、年間の発電量は約12,500世帯分に相当します。稼働前の予想を上回る発電量となり、発電した電力はすべて「固定価格買取制度(FIT)」により東北電力に売電されています。再生可能エネルギーとして脱炭素の一翼を担う風力発電。さらに八峰風力発電事業は、収益性の面でも事業としての存在感を増しています。

※固定価格買取制度(FIT)
再生可能エネルギーで発電した電気を、国が定めた単価で一定期間電力会社が買い取ることを国が約束する制度。再生可能エネルギーの普及促進と拡大を目的としている。

日本屈指の風力発電の適地・八峰町

事業の大型化によるスケールメリットの向上
幾多の難題を乗り超える力となった建設業のノウハウ

前田建設は太陽光発電に続く再生可能エネルギー事業として、事業の大型化によってスケールメリットが期待できることにより風力発電に着目。コストの削減の可能性や将来性に加え、計画・施工・運営など前田建設が関与できる範囲が広いことから2015年に八峰風力発電事業に参画しました。
用地確保および許認可取得の中で、特に難しかったのは保安林規制の解除。秋田県との交渉は難航しましたが、粘り強く協議を続けることで無事解除に至りました。さらに風車から変電所まで約14kmの送電線施設工事では、鉄道や河川などを横断する箇所が存在。架空横断するため大型電柱の設置が必要となり、隣接耕作者の承諾や県への占用手続き申請などをクリアすることで施工が可能になりました。
建設工事は2017年6月に始まり、2019年1月末に八峰風力発電所が完成。想定よりも冬季の降雪量が多く、工事に必要な機材の手配に苦慮することもありましたが、予定通りの工期で引き渡しが完了。金融機関からの資金調達も含めて建設業としてのノウハウやエンジニアリング力を活かし、当初の計画通りに発電所の運転を開始することができました。

地域に愛される風車のある風景
安定運用を支える細かなコミュニケーション

2019年2月から営業運転を開始した八峰風力発電。維持管理業務を担う協力会社との細かなコミュニケーションを意識して発電所に関わる企業や人々が一丸となり、安定した運転を続けています。
秋田県や八峰町など地元自治体との良好な関係も構築。税収の増加や雇用創出といった地域貢献に加え、近隣に住む方々から寄せられる小さな要望にも応えるなど、地域に必要とされる存在となっています。
数多くの風力発電所が存在する秋田県。その中でも八峰風力発電所は、能代大橋を北に向かう途中に次々と見えてくる7基の風車の姿など、八峰町のランドマークとしても存在感を高めています。
日々の風力に発電量が左右される変動電力というデメリットはあるものの、地域の人々に愛され、脱炭素への貢献という意味合いも大きな八峰風力発電所。今後も安定運用を維持し、地域への貢献を担います。

地域に愛される風車のある風景

日々の積み重ねが重要な風車のメンテナンス

八峰風力発電で採用している風車はアメリカのGE(ゼネラル・エレクトリック)社製で、遠隔操作でモニタリングや制御が可能。風速25mを超えるような強風の日に対応する、風車の損傷を回避するモードも搭載されています。
しかしブレードのエロージョン(液体や気体などの機械的な力による変形や劣化)や落雷などによって、風車のメンテナンスが必要となることがあります。メンテナンスを行うには風車を止める必要があり、さらにブレード(風車の羽)の高さまでゴンドラで移動する必要がありますが、上空の風速が15m以上の場合は危険なため作業ができません。
そんな危険な状態でのメンテナンスを回避するために、定期点検や協力会社との情報共有を大切にしています。風車を止めることになる前に部品の入れ替えなどを実施。安定運用を続けるために細心の注意を払い、点検とメンテナンスを日々行っています。

八峰風力発電事業

電力関係の工事に数多く携わってきた前田建設。2011年に「脱請負」を打ち出し、その翌年に「固定価格買取制度(FIT)」が始まったことで、再生可能エネルギー事業に取り組みやすい環境が整いました。再生可能エネルギー事業として、太陽光発電、バイオマス発電、地熱発電などを推進。そして風力発電事業の第一歩となったのが八峰風力発電事業です。
大きな期待を受けて稼働した八峰風力発電。日本海からの風を受けて日々発電し、運転開始から順調に電力を供給しています。温室効果ガス削減と収益性の確保を両立し、風車のある風景は地元の人々に愛される。理想的な事業の在り方として、これからも再生可能エネルギー事業の柱となり続けるでしょう。