現場は、建物4棟と外構・設備の5工区に分けて建設している。 |
「ハーベストカラー」のシネマ駐車場棟 |
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「漆の赤」の大ホール棟 |
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第1工区は「ハーベストカラー」のシネマ駐車場棟。4階・5階が8スクリーンのシネマコンプレックス、6階から9階が800台収容の駐車場である。「シネマコンプレックスの客席には鉄骨段床方式、デッキには配筋済みのフェローデッキを採用して、通常1週間かかる工事をわずか2日間で出来るようにしました」と窪田工事課長。

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第2工区は「漆の赤」の大ホール棟。4階以上が1300人収容の北九州市メインホールとなる。「大ホール棟はSRC造です。通常のSRC造の施工では工期的に厳しいので、SRC梁のPCa(プレキャスト)化を提案しました。仮設の足場を簡略化するために昇降式足場の設置も計画しています。当面の課題は、オーバーハングしている外壁を効率よく施工することです」と青山建築課長。 |
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「日本瓦の黒」の高層棟 |
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第3工区は「日本瓦の黒」の高層棟。朝日新聞社などの拠点となる。「高層棟には、逆打ち工法(※1)と建入れ調整治具(※2)を採用しました。低層部には油圧レッカー、高層部にはレールで横移動するホイストクレーンを導入し、効率よく外装パネルを取付けています」と鮎田工事課長。

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逆打ち工法(※1) |
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高層棟・中ホール棟の施工には、逆打ち工法(1階先行床工法)を採用した。逆打ち工法と順打ち工法を合わせたもので、1階フロアを造った後、地下と地上、2方向へ同時に施工出来る。地下18mの岩盤まで25万・を約1年間にわたり掘削。同時に、地下鉄骨建方は5・6階まで進んだ。岩盤の上に、まるで船のように建物を載せている。 |
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建入れ調整治具(※2) |
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ワイヤーロープ等の代わりに柱の建方用エレクションピースに建入れ調整治具を取り付けて、鉄骨の倒れを矯正し、建方精度を確保する。精度アップ、工期短縮、コストダウンに貢献する新技術である。 |
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「大地の色」の中ホール棟 |
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3D・CAD Systemで描かれた鉄骨工作図(中ホール棟) |
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第4工区は「大地の色」の中ホール棟。ここにはNHK北九州放送局が入る。球体を縦に4つに割ったような建物の施工には3次元CADを導入。平面図では表しきれない形を立体で捉えて施工している。「私はこれまで高層の建物を手掛けてきましたが、その概念は通用しません。同じ作業の繰り返しが全くない建物ですからね」と比嘉工務課長。鉄骨の構造には3人の設計者が常駐している。鉄骨は1カ所から3本の柱を立てて球体の膨らみを出し、やがて3本を1カ所にまとめて頂点に向かう。外壁にはブラジル産ジャロアンティコの石を選んだ。1枚当たり厚さ23cm、重さ6~7tのPCa版をはめ込んでいく。「効率よく球体に外壁をはめ込む工法は、頭をひねって考えました」と比嘉。中ホール客席の階段状の床にもPCaが採用された。
逆打ち工法を採り入れた高層棟・中ホール棟では、地上と地下の工事が同時進行している。一般的には地下から始まり、上へ進めていく工事が、1階の床を基点として上下階の両方向に同時に進んでいる光景は、実にダイナミックである。

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設備が建物に命を吹き込む |
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4棟すべての設備を担当している小出電気課長は「設備は建物に命を吹き込む仕事です。ダクト工事だけで15万m。大型物件ならではのライザー配管工法、地下ピットにはユニット配管工法を採用しました。情報発信に関わる設備、ホール、商業施設等、様々な設備を整えなければなりません。設備の本領を発揮するのは、これからですよ」と語った。

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5人の課長 右から |
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第1工区担当 工事課長 窪田琢郎
第2工区担当 建築課長 青山亮二
第3工区担当 工事課長 鮎田晃啓
第4工区担当 工務課長 比嘉博明
ン備担当 電気課長 小出伸一郎 |
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