室町一丁目地区第一種市街地
再開発事業#2

地元の期待が伝わってくる。

室町一丁目地区第一種市街地再開発事業 | 新しい息吹

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環境との調和

 周辺には、小倉城、八坂神社、北九州市役所、松本清張記念館、小笠原会館、北九州市立中央図書館などがある。建物が完成すると、環境と調和しながら新しい息吹が吹き込まれることが期待されている。

 このプロジェクトの建築主である室町一丁目地区市街地再開発組合の出口隆理事長は「私たちの組織は、第三セクターで北九州市の都心である室町地区の活性化を図るために、新たな中心施設の建設を計画しました。建物のデザインを選ぶ際に重視したのは、様々な要素をいかにうまくまとめているかという点です。以前から、い?「ろな形の建物が集まっているエリアですから、この形状は最初から納得できました。しかし、色に関しては当初の夕焼けを背景にした建物の色がどうしても納得できず、ほぼ2年にわたる北九州市景観アドバイザーとの協議結果を受けて、日本の自然や伝統の中にある色を選び、外壁の材質には十分に配慮して欲しいと要望しました。前田建設さんには設計通りに建設して頂くようお願いしています。しっかり施工して下さっているので、ハードについては安心しています。この3月にテナントの募集を開始したところなので、当面の課題は『リバーウォーク北九州』という愛称を浸透させることです」と建設の経緯を語った。

地道な設計が続く

 デザインを施工に移すために重要な役割を果たしているのが、施工図の作成である。このプロジェクトでは特に、斬新なデザインを生かすために必要不可欠な役割を担っている。株式会社日本設計監理・コスト設計群監理部・木村秀夫担当部長は「私たちは、実際に建物を建てるための施工図をチェックしています。この現場に取り掛かる前に、実際にアメリカに行って、ジョン・ジャーディ氏がデザインした建物を見学してきました。この建物はアメリカのアトリエ系建築事務所ならではの自由な発想から生まれたデザインです。それだけに形も内部構成も複雑なので、設計に普段の倍以上のパワーを掛けなければ、デザインを生かしきれません。図面の数は通常の3倍以上になると思います。特に中ホール棟の設計施工には3次元CADを導入して、建物を立体で捉えることが出来るようにしました。詳細な設計の確認はまだまだ続きますが、だんだん形が見えてきたので完成が楽しみです」と語った。多数の案の中から選ばれたデザインを生かし、発注者の要望を取り入れて、現場での施工につなげるために、地道な設計が続く。

細川忠興公が慶長7年(1602年)に築城した小倉城。現在の城は昭和34年(1959年)に再建され、小倉のシンボルとなっている。

多くの橋が架けられている紫川。手前から「石の橋」「木の橋」「火の橋」

室町一丁目地区市街地再開発組合 理事長 出口 隆氏

地元と現場が融和する。

室町一丁目地区第一種市街地再開発事業 | 和の中の個性

2001年7月、小倉祇園祭に参加して白丁(はくちょう)姿で神山を担ぐ社員たち

左から 八坂神社 神職 波多野瑞雲氏、
宮司 高山定基氏

地元の方々との交流

 市街地再開発事業への地元の関心は高く、様々な意見がある。前田建設は施工者として、設計に即して安全に建物を建設することが第一の務めである。同時に、34カ月間施工する上で、騒音や振動など近隣に配慮した施工とともに、地元の方々との交流も大切にしている。

 近隣の方々の話を伺うために、現場に隣接する八坂神社を訪問した。
「私は、この地区にこういう建物が出来ることには大反対(笑)。ここには建物を造らずに、緑地帯を残して欲しかったですね。しかし、計画に対する意見はともかく、建設は着々と進んでいます。みなさんは無事に立派な仕事をして下さい。完成したら、明るく楽しい小倉になって欲しいですね」と高山宮司。
「昨年は400年の歴史のある祇園祭に、前田建設から50人もの社員の方々に参加して頂き、盛大に出来たことを神様は本当にお喜びになっていると信じています。完成後は目標が達成され、街が発展して門前町のように栄えることを、心から念じています」と波多野神職は語った。

 室町再開発作業所の石井統括所長は、「この事業は北九州きっての再開発事業ということもあり、市民の皆様は強い関心を持っておられます。周辺住民の方々の期待も感じますが、その半面、市街地での工事ということで、振動・騒音等が不安感をもたらすことも予想されます。単独受注のもと全国より集まった社員は、そのことを踏まえ、地域に溶け込み、また周辺環境を配慮した工法を多数採用しています。

55人の前田マン

 現場は5工区に分け、5人の工区長が全体の和を意識しながら、それぞれのカラーを出しています。与えられた大きな土俵の上でカラーをうまく融合し合い、調和を保ちながら、多くの経験を積むことで、今後、彼らが前田建設の建築の中核になって欲しいと思っています。私を含めた55人の前田マンが造る建物が、広く地域の生活の一部となり、市民の皆様に前田建設が施工して良かった、と言って頂けるように、これからも無事故で作業を進めます」と締めくくった。

 完成まで約1年。工事は急ピッチで進んでいる。現場の熱気は、いやが上にも高まっていく。この現場での経験が一人一人の力となって、55人が前田建設を発展させる原動力となっていく。

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