M.M.TOWERS新築工事(1・2期)
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Construction REPORT 03
免震構造を採用した超高層住宅 M.M.TOWERS the East・the South
MM21-39街区 マンション工事 | 建物を支える免震工法
建物をしなやかに守る

 最大の特徴は、高層でありながら免震装置を備えていることだ。従来の建物は、関東大震災規模の地震を想定して建設されているが、ここでは関東大震災以上の地震を想定して設計施工されている。
 みなとみらい21は埋立地だ。埋め立ての際に行った地盤沈下対策に加え、さらに液状化対策を行った。その上で、地下の支持地盤に杭を打ち、基礎を築いた。
 そして、2・3m(約3500m)のマットスラブを打設し、免震装置をはさんで基礎を載せている。
 地震の衝撃をやんわりとかわす絶縁体として、免震装置28台を設置。建物の揺れを吸収する鉛ダンパー44台、鋼棒ダンパー15台。免震装置の機能検査では、横方向に約90cm移動しても異常なし、と立証された。
 免震装置は、圧縮には強いが、引き抜きに弱い性質がある。30階、地上100mの建物なので、揺れると転倒する力が働く。
 そこで、免震装置に引っ張りの力が加わらないように、免震装置の上に幅2・8~3・5m、高さ3・0~4・0mの基礎梁、1mのスラブ(約1万t)を配置し、建物全体の重心を下げることで転倒を防止している。
 地下の躯体工事には4万mものコンクリートを使用した。免震装置からマットスラブと基礎梁底の間隔は、約1・4m。これは将来、免震装置やダンパー類をメンテナンスするためのスペースである。
 免震上部の基礎梁の施工方法は、1期と2期で変えている。
1期は、打ち込み型枠を使用した。通常は型枠のベニヤをはがさなければならないが、それを省くことで省力化を図った。
2期は、打ち込み型枠の代わりにPCa型枠を使用し、資材の数量を大幅に削減した。

免震構造の仕組み
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免震装置

▲免震装置
建物の荷重を負担し、基礎と上部構造の絶縁体の役目を果たす。わずか8.5mmのゴムと5.8mmの鋼板を35層に積層した免震装置は、ブリジストン製、日本最大の積層ゴムを採用した。

鋼棒ダンパー

▲鋼棒ダンパー
ループ型の鋼材が塑性変形して、地震の水平方向の動きを吸収し、ねじれを制御する。

鉛ダンパー

▲鉛ダンパー
鉛99.9%、径180mm。鉛の部分が塑性変形することで、地震による水平方向の動きを吸収する。

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MM21-39 マンション工事 | 住宅設備を守る免震構造
ライフラインは眠らない。
チェーンでつられている免震配管設備

▲チェーンでつられている免震配管設備

可動式の免震配管設備

▲可動式の免震配管設備

免震構造ゆえの約90cmの隙間

▲免震構造ゆえの約90cmの隙間

1.設備課長 井上晴幸  2.建築課長 櫻田 広
3.建築課長 林 聖訓  4.建築課長 岡田敬司

1.設備課長 井上晴幸
2.建築課長 櫻田 広
3.建築課長 林 聖訓
4.建築課長 岡田敬司

建物の、地下1階と地上1階との間に配管スペースを確保し、地震が起きても、ライフラインである給排水や電力、冷暖房が使用できるよう万全の体制を整えた。地震による振幅を90
cmと想定している建物に対し、100cmの振幅に対応できる免震配管設備を完備した。
 設備工事には、工場生産による縦管ユニット工法や樹脂管プレハブ工法を採用。配管工事を大幅にスピードアップした。
 設備課長の井上は、「設備の免震装置や、日本初の住宅設備機器の導入は、メーカーや学者に相談して決めました。「日本初」に挑むのは楽しいですよ。この現場が、これからの日本のマンションのスタンダードになるのですから」と語った。
 井上はこの現場で、配管工事に効果のある「サヤ貫スリーブ」を開発し、特許を出願。これにより、配管工程での壁貫通の防火処理が1工程で完了できるようになり、工期短縮、原価低減に貢献した。

 建物の仕上げは外壁へのサッシの取り付けから始まり、戸境に乾式間仕切り壁を設置し、建材の選定はシックハウス対策として、天然木や天然石を採用している。
 建築課長の林は、「インテリアは、35タイプ、102プラン、5つのカラーテイストから、お客様にお選びいただきました。
ですから、最終的な住戸の図面は150タイプもあります。従来の仕上げとは工程も収まりも違うので、難しいですよ。これから、共用・管理棟の内外壁に天然大理石を割肌形状で張ります。これには高度な技術が必要です。個性的な外観になるので楽しみです」と、次の課題への意欲を見せた。

 この現場では、協力会社50社500人が、安全、品質向上、工程管理をテーマとして、建設に当たっている。
 建築課長の櫻田は、「これほどの規模のチームで仕事をするのは初めてです。机上の理想論だけでは解決できないことを、積極的に提案し合って、前向きに取り組んでいます。歴史に残るこのプロジェクトに参加できて、よかったです」と熱く語った。
 建築課長の岡田は、「私は、モデルルームの建設からかかわってきました。2期のタワークレーンを解体する瞬間は、感無量だと思います」と、竣工の日に思いを馳せた。
 「M.M.TOWERS」の竣工は、未来へのスタート地点だ。多くの人々がここで暮らし始めることにより、「みなとみらい21構想」はまた1歩大きく前進する。

 これだけのプロジェクトを円滑に動かすためには、まず職員のベクトルを同方向に定めて、協力会社を管理しなければなりません。
 そのために、毎日現場を見回って、基本的な安全管理を徹底しています。なによりも、現場をきれいに保つことが大切です。清掃することで、一人ひとりの意識が高まり、品質の向上にも、工程管理にもつながるからです。
 課長や主任に任せることで、それぞれが責任を持って、協力会社と連携して、スムーズに工事を進めています。

<先進の住宅設備>

●光ファイバーを各住戸に配線。ADSLの約70倍の処理能力を持ち、
 大容量のデータ伝送が可能な超高速インターネットシステム(LAN)を完備。
●超高層階でも携帯電話やモバイルを利用できる次世代移動通信システムを導入。
●LANと併せて、衛星アンテナによるBSデジタル放送のほか、
 CS110度デジタル放送にも対応したテレビ受信方式。
●日本初の次世代型住宅情盤を設置。留守中の来客の映像を記録し、共用施設の予約、
 電子回覧板、伝言メモ機能等を有している。
●給水、給湯、消火、空調配管に耐久性があり軽量の樹脂管をプレハブ化して採用。
●換気扇のファンをすべてユニット化して、ベランダ天井に取付け、他の追随を許さない静寂を実現。
●生ゴミをつぶして微生物処理するディスポーザーシステムの導入により、においのないキッチンを実現。

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