吉原ジャンクション#1

Pier place AP4/CP1 Construction REPORT
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吉原ジャンクションAP4・鋼管コンクリート複合構造橋脚/CP1・竹割り型構造物掘削
深い緑の真っ只中へ

 吉原ジャンクション。ここは第二東名高速道路と現在の東名高速道路を結ぶ清水連絡路と、さらに清水から山梨・長野へとつながる中部横断自動車道との交点となる。
 吉原ジャンクション全体では、切盛土工事150万m3、橋台28基、橋脚58基。前田建設・ベクテルJVは、そのうち橋台4基、橋脚17基の工事を担当。第二東名は現在の東名高速道路より山側を走るため、地上から高速道路の路面までの高さは、最高約70mとなる。
 2000年春、現場に乗り込んだ新人・福田は、日本道路公団から渡された図面を見て、測量しながらプロットされた地点を探り、工事用道路を造った。
工事用道路の完成後、福田は高橋の指導のもと、橋脚の工事に入った。BランプP1橋脚で中空タイプの施工、P5橋脚で鋼管コンクリート複合構造、CP1橋脚で竹割り型構造物掘削を経験した。「基礎の壁面にかかる山の重さを支えるために必要なロックボルトの長さや壁面の厚さを割り出す計算をして、図面を書きました。パソコンが心強い相棒でした」と福田。
 2002年9月26日、曇り。AP4の橋脚にコンクリートを打設した。福田は「大学で研究した橋脚の施工を、ここで経験できました。月に1度、工事の記録写真を撮影するたびに、達成感を感じています」と語った。

MAP
 

手際よくコンクリート
ミキサー車をチェックする福田淳

 

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より強く、より速く
Pier place AP1

急峻な斜面での地山の掘削工法として日本道路公団が開発した竹割り型構造物掘削が採用されたAP1のピア

 
鋼管コンクリート複合構造橋脚(ハイブリッド構造)
 

従来の高橋脚は、中空タイプの鉄筋コンクリートが一般的で、鉄筋や型枠の施工に期間と手間を要してきた。そこで、施工の省力化や工期短縮を目指して技術開発を行い、鋼管コンクリート複合構造橋脚が開発された。橋脚の内部に複数の鋼管を配置し、その周りにストランド巻付け鉄筋を配筋して、コンクリートを打設する。鋼管が多くの鉄筋と内側型枠の役割を果たしている。これにより施工を省力化し、工期を短縮した。耐震性にも優れた構造である。

吉原ジャンクションの工事を担うすべてのJVにとって、この工法は初めての経験である。各社とも手探りで工事が始まった。前田・ベクテルJVは真っ先にこの工法に着手。施工法の創意工夫により、工期を短縮。1ロット・5mを8~9日間で施工している。

鋼管コンクリート複合構造橋脚(ハイブリッド構造)図
 
 

 近藤は、2001年7月、この現場に来た。工事用道路の一部、本線A2・BランプA2の橋台を経て、AP1橋脚に取りかかった。
 9月26日は、9本の鋼管の周囲に主鉄筋を建て込んだ。6本の鉄筋にロープをかけてクレーンで吊り上げ、所定の位置に下ろす。待ち構えた作業員が鉄筋を受け止め、素早く固定する。「阪神大震災の後、橋脚の構造が変わりました。主筋は直径51A、補強筋は直径29Aと太くなって、鉄筋の組み立てに時間がかかるようになりました。在来工法で2週間かかる作業を、鋼管コンクリート複合構造なら1週間で施工できます」と近藤。
 橋脚の基礎のコンクリート打設には、前田建設が独自に開発したM-Yミキサを採用。9月12日から5日間にわたり、AP1の基礎に1711m3のコンクリートを打設した。「直径約40Aという大きな骨材が入ったコンクリートを50mも上から流すために、分離防止装置としてM-Yミキサを採用し、緩衝装置を取り付けて工夫しました」と、近藤はコンクリート打設を振り返った。

AP1のピア  

AP1のピアを上部からのぞく。

 

配筋作業を指示する近藤眞生

鉄筋の組み立て

クレーンにより吊りおろされた鉄筋の組み立て。

クレーンの上部にカメラを取り付け、オペレーターがモニターを見ながら作業を進める。

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