脇ダム近くの沢に貯留水が浸透すると、脇ダム下流に漏水が発生し、安全性を損なう恐れがある。その止水処理対策として実施した沢処理工は、台形CSGダムの理論に基づいて建設された世界初の構造物として注目されている。
沢処理工に台形CSG構造が採用された理由は、他のダムタイプよりも経済性で優位であったこと、また台形CSGダムとして今後建設が予定されている億首ダムの施工方法の確立を図るという目的もあった。
CSGは、河床砂礫や掘削土など、現場近くで容易に入手できる岩石質材料に粒度調整をせずに、セメント、水を添加した簡易な混合で製造されるセメント系固系材である。この現場では、M-Yミキサを練り混ぜ装置としたJIOCE式プラントを設置して、CSGを製造した。
施工にあたり、まず台形CSGダム用プレキャスト型枠を開発した。
まず所定の位置にプレキャスト型枠を置き、ボルトにて調整、固定した後、流動性の高いモルタルを空間に充填して固定させた。これにより、端部型枠を使用せずに施工でき、施工サイクルの短縮につながった。
数々の工夫を重ねて、沢処理工は、2004年6月に完了した。
※M-Yミキサとは、うどん練りの発想から生まれた連続ミキサで、
混練ユニット間を移動するごとに圧延と重ねの2つの作用を併せて
材料を混練します。 |
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大保脇ダム作業所 副所長
吉岡 一行
ダム工事総括管理技術者
技術士(土木) |
台形CSGダムの施工においては、まずこの現場にある材料で所定の強度を出すことに苦労しました。また、JIOCE式プラントでは水分調整のため、練混装置であるM-Yミキサの側面から加水する方式や、岩石によって削られる部分にはボルトを入れてM-Yミキサの摩耗防止を図るなどの工夫をしました。
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