建設中の北山トンネルは、国道455号の三ツ割側から北山側の国道4号に向けて、上り線延長923.5m、下り線延長950.5mの2本のトンネルを、山岳工法(NATM)※1で建設。北山側坑口付近は、2本のトンネルが離隔3.0m以内に近接した超近接トンネル※2となる。
現場の地山は、中世代の付加体であり、なかでも破砕の進んだ混在岩(メランジュ)からなる軟弱な地質。しかも風化が進行しているため崩落しやすく、掘削が非常に困難である。
トンネル掘削前、坑口法面の掘削整形中に崩落が発生。その法面を自立させるために、法面に吹付けとロックボルト、2本のトンネルの中間地山にアンカーを施工した。
2004年8月23日、トンネルの掘削を開始した。掘削を開始してからも切羽の崩落が頻発し、2005年4月12日、陥没変状が発生。これにより約2カ月間、工事を中断した。
工事再開を目指し、変状箇所の応急処置として、トンネル坑内はエアモルタルで閉塞し、崩落した地山を注入により改良した。さらに、地上からのボーリング調査、大学教授などの有識者を交えた原因究明に取り組み、対策を検討。その上で、地権者や近隣住民への説明会を経て、2005年6月17日に工事を再開した。 |
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盛岡北山トンネル作業所
副所長 設計担当
櫻井孝臣 |
変状後、土木技術部設計Gから配属されました。着任したとき、この現場が軟弱な地盤の小さな崩落を許しながら、地山とギリギリのバランスを保ちつつ、安全性を確保して施工していたことに驚きました。泥質を主体とする混在岩(メランジュ)という複雑な地盤を肌で感じながら、これまでに前田建設が蓄積した超近接トンネルの施工実績を設計・施工に活かしています。 |
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