珠洲風力発電所施設建設工事#1

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地元とともに 珠洲市の活性化に 風車を役立てていただきたい

 珠洲風力発電株式会社を設立した日本風力開発株式会社の執行役員開発本部長である大村昭一氏は、「私共は、北は青森県上北郡六ヶ所村から南は佐賀県唐津市まで、全国各地に風力発電所を持っています。
 北陸地方を調査をしたところ、能登の最先端は風の状態が非常に良いことがわかったので、2004年11月に当時の珠洲市長に風力発電所の建設調査を申し出たところ、すぐにご快諾をいただき、環境調査を開始し、珠洲市をはじめとして地元の方々の強力なご支援をいただき地権者のご承諾を得て、2005年4月には風力発電所建設の補助金を申請。同年10月に採択されました。
 設計・施工を前田建設さんに発注し、風車の輸送道路の整備や、設置場所の設計などに山岳工事の経験を活かした上で、風力発電が地元とともに発展するよう、施工はなるべく地元の建設業者に発注し、風車のメンテナンスのために子会社には2007年4月までに地元から3名採用しました。
 私共の仕事は、風力発電所を建設して、電気を電力会社に販売することです。風車の完成後は、風車を地元の発展に役立てていただきたいと願っています。
 施工は安全第一。笑顔で竣工を迎え、珠洲市民のみなさまのお気持ちにお応えしたいと思っています」と語った。

日本風力開発株式会社
執行役員 開発本部長

大村昭一



 前田建設は創業当初からダムをはじめとする山岳土木に取り組んできた。ダム工事では、山に分け入り、樹木を伐採し、道路を造成し、工事用道路を建設している。このような前田建設の山岳土木技術が認められ、珠洲風力発電所の建設をEPC事業として受注した。EPC事業とは、計画立案から引き渡しまで、すべてを前田建設が一括受注し推進する事業形態である。
 2006年2月、現場が動き出した。風力発電は計画から竣工までの期間が短い。風力発電には強い風が必要だが、施工にはその強風が妨げとなる。能登の冬は厳しく、強風と雪に見舞われる。野鳥の営巣期は小規模な工事に限られる。厳しい条件の下、すべて順調にプロジェクトを推進している。
 山岳部の工事用道路の建設には、前田建設の山岳土木技術が発揮された。道幅が狭く曲がりくねった林道を造成し、大型トレーラーで風車のブレード(羽)を輸送できるよう建設した。このとき、伐採する樹木を最低限に抑えるため、カーブがきつい部分は、図面に輸送車の軌跡を描き、必要最低限の造成工事をした。それでも曲がりきれない場所は、スイッチバックする場所を造成した。
 市街地のルートも決めた。ルート上にあった「のと鉄道」の鉄橋は、すでに廃線となっていたので、風車の輸送を開始する直前に、珠洲市によって撤去され、スムーズな輸送が可能になった。
 風車の輸送は、交通量の少ない夜間に限られる。最も重量のあるナセルには低床トレーラーを用い、長いブレードの輸送には後輪をリモートコントロールできるトレーラーを使用して、慎重に輸送している。


※EPC方式とは…EはEngineering:設計、PはProcurement:調達、CはConstruction:建設・運転という意味。

長大なブレードやタワーの輸送のために
道路はいたるところで拡張された

珠洲市は使わない線路の橋桁を撤去した

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