東北本線与野・さいたま新都心間
赤岩Bo改築工事#1

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務めを終えた旧橋を解体・撤去する

 JR東北本線、与野駅とさいたま新都心駅の間に位置する赤岩Bo「赤山東線大原橋」の改築を、JR東日本より発注され、前田・東鉄建設共同企業体が施工に取り組んでいる。
JR線西側の郵政庁舎方面と、東側の旧中山道をつなぐ旧大原橋は、幅員約6m(2車線)。幅員が狭いうえ、歩道がないにもかかわらず、人も自転車もどんどん通過する。大型の乗用車がすれ違うときは、運転者も歩行者もヒヤヒヤしていた。さらに、橋詰に信号があるため、橋上は慢性的に渋滞し、信号待ちで橋上に停車すると、対向車が動くたびに橋が揺れた。このような状況から、さいたま市のさいたま新都心周辺道路網整備の一環として、老朽化した大原橋の架け替え工事が計画された。
新橋は、東北本線、京浜東北線、宇都宮線、高崎線、貨物線(湘南新宿ライン)などJR線11線の上空を渡る、幅員24m(歩道部3.5m+車道部4車線)の橋である。橋の東側からすぐに北側道路に曲がれるようにするために、橋の中央にアーチのある「単弦ローゼ橋」が採用された。
 架け替え工事のために仮橋を架けると、新橋の建設と同じくらいの工期と費用がかかる。そこで、さいたま市が地元の方々のご理解を得て、工事期間中は通行止めにすることに。通行止めをして、住民の協力を仰いでいるからには、工事を遅らせるわけにはいかない。

JR与野作業所

副所長 對馬克彦

私は、品質・工程・環境など工事全般を見ています。この現場の特色は、まず鉄道工事の特殊性があること。その上で、工程のポイントをつかんで、メリハリをつけています。特に、年末年始やゴールデンウイークなどの長期休暇を考慮して、スケジュールを立てています。たとえば、ゴールデンウイークの前までに、2度に分けて新橋を送り出そう、というように。工程管理の面では、夜勤明けの申し送りを丁寧に行い、安全な施工を心がけています。環境の面では、できるだけ近隣の方々にご迷惑をおかけしないよう、毎週、工事計画をご説明して、ご協力いただいています。特に、深夜に音や振動などが出る作業をする場合は、事前によくご説明して、ご理解をいただいています。この現場では、これまでの経験を生かして十分に結果を出しているので、やりがいを感じています。

 2005年10月31日に着工。8つのステップで施工している。
 まず、長年にわたる役割を終えた旧橋を撤去した。
 2006年4月、ステップ1。西端の現在は線路のない部分の橋桁を、120t油圧式トラッククレーンで撤去。東端の京浜東北線の線路上の橋桁は、360t油圧式トラッククレーンで撤去した。
 2006年5月、ステップ2。東側1基・西側2基、計3基の橋台を築造。新橋建設が始まった。
 2006年7月、ステップ3。旧橋中央部の橋桁を2つに分けて撤去した。西側の作業ヤードに800tクローラクレーンを設置し、まず中央から東の部分の橋桁を撤去。続いて、中央から西の部分の橋桁を撤去した。800tクローラクレーンで橋桁を吊り上げたとき、その重量により地盤が沈むとJRの線路に影響が及ぶため、細心の注意を払って作業中の測量を行った。こうして、旧橋桁すべてを計6日間で撤去した。
 2006年8月、ステップ4。旧橋の橋脚2基の撤去を完了。
 旧橋を撤去する際は、必ず施工時の軌道検測や軌道計測装置での変状監視を実施した。また、近隣への騒音や振動の影響を最小限に食い止めるために、既設橋台や擁壁撤去はワイヤーソーで切断し、現場内で小割りすることなく、大ガラの状態で搬出した。
 解体工事の後、旧大原橋の西側の親柱だけが残された。

JR与野作業所
土木係
藤井公嗣

私は入社2年目です。新入社員研修が終了し、昨年8月にこの現場に来たときは、旧橋の撤去を行っていたので、先輩の指示に従って無我夢中で仕事をしました。夜間に、日本に4台しかないという800tクレーンで旧橋を吊り上げて撤去したときは、地盤の測量の手元(助手)をさせてもらいました。ビリビリと現場の緊張感が伝わってきたので、身が引き締まりました。現在は、新橋の組み立て、塗装、監理などを担当しています。いろいろな工種を見られるので、とても勉強になります。

長年の役割を終えて撤去されたあとも
残されている旧大原橋の親柱

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