ヨコハマタイヤ
マニュファクチャリング
(タイランド)
PC・LT工場第3期工事#2

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タイの気候・風土知り尽くし、雨季対策も十分に

 タイの建築は日本とは異なり、工場も超高層ビルも、すべてブロック工法である。建物の壁は、鉄筋コンクリートの柱の間にブロックを積み上げ、左官仕上げを施す。その理由は、タイは地震が少なく、ブロックと人件費が安価だからである。この現場でもブロック工法を採用した。ブロックにはいろいろな種類があり、風通しをよくしたい部分にはスリットのあるブロックを用いた。
  また、工期短縮のために基礎・床・外壁の施工法にも工夫した。
  まず、基礎工事は地盤改良のみを行った。地盤の緩いタイでの基礎工事は、通常、くい打ちと地盤改良を行う。しかし、この現場は地盤が固いという好条件に恵まれていることから、くい打ちはせず地盤改良のみとした。床は重量のあるタイヤの生産機械を支えるため、短期間で頑丈な床を施工しなければならない。そこで、床の鉄筋を現場ヤードで地組みし、床を施工するとき施工箇所に搬入して固定し、コンクリートを打設する方法をとっている。
  また、増築のとき不要となる部分の外壁には、施工しやすく、再利用できる建材をご提案した。これにより、増築のとき不要となる外壁を取り外し、増築部分の外壁として再利用する。
  さらに、雨季の集中豪雨に備えて、雨水処理にも工夫した。タイの気候の特徴は、雨季と乾季があることだ。雨季である4月から10月には、瞬間的に大量の雨が降る。工場は屋根面積が広いので、そこに降る大量の雨を受け止め排水するために、特大の雨どいと、太い縦といを設置し、工場敷地内の側溝も整備した。
  施工にあたる作業員には、屋根、外壁、雨どいを丁寧に施工するよう徹底した。このように雨水をスムーズに排水することは、建屋を守り、工場での安定した生産をバックアップし、製品の品質を守り、お客様との信頼関係を築くことにつながっている。

再利用できる壁建材の施工状況

通風口のあるブロック施工状況

タイ マエダ コーポレーション リミテッド
作業所長
 生田 英晃

2008年7月にタイに赴任し、すぐにこの現場に来ました。タイの現場は、安全面も品質面も工法も日本の現場とは違います。当面の目標は、安全朝礼などを行うことにより安全意識を高め、安全管理を向上させたいと考えています。

工場内の環境改善やタイの環境保全にも意欲的に取り組む

 この現場では、工場内の環境改善にも取り組んでいる。現在の課題は、生産工程で機械が発する熱の影響により、室温が35℃から45℃という高温になるエリアの作業環境を改善しなければならないこと。設備に工夫を重ね、温度のシミュレーションに関しては前田建設本店に依頼した。作業環境の整備は、生産効率の向上はもとより、従業員の安定的な確保のためにも重要な要素となるため、引き続きお客様とともに取り組むこととなっている。
  PC・LT工場第3期工事と同時に、隣接する第2期工事エリアでは生産機器の据付工事が進行中。引き続き、2009年3月からは第3期事の工場への生産機器の搬入・据付工事が開始される。
  さらに、PC・LT工場第4期、TBS工場第2期の増産工事も計画されている。タイマエダはこれまでの実績をもとに、引き続き受注し建設できるよう、安全・品質の向上、工期短縮、コストダウンを目指し、お客様にご満足いただける工場を建設したい、と考えている。
  この現場では、タイ国内をはじめカンボジアなど周辺諸国の人々も含めて、毎日約300人の現地作業員が働いている。言葉や生活習慣の違う人々に、ヘルメットや防塵マスクの着用などを徹底するよう指導し、安全面の強化に力を注いでいる。その結果、安全対策はかなり浸透してきた。今後は日本と同様の安全朝礼の実施が目標である。
  また「1000年の杜」プロジェクトに参加し、植林のための土壌作りや植林に参加し、タイの環境保全に協力した。樹木の成長とともにお客様が発展し、地域の人々と日本企業とのつながりがいっそう強くなることが期待されている。

タイ マエダコーポレーション

作業所長 村田 隆信

 この現場は、戸田部長と前田建設本店設計が作成した入札資料および基本設計プランを基にして施工しています。また、この工場は空調設備やユーティリティ設備が非常に大きなウエイトを占めることから、そのノウハウを富田社長と戸田部長から引き継ぎ、現在の設計・施工に反映しています。
  良質の建物を施工したいという思いは、誰も同じだと思います。私は、品質の良い構造体を重視して施工することで、お客様の信頼を得られると信じ、設計・施工に取り組んでいます。

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