エルモ社耐震改修工事#1

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本社棟4階は、工場から食堂に用途を変更。耐震ブレースの形状を安全訴求のデザイン

今後30年使える建物にするために、

 株式会社エルモ社 取締役 常務執行役員 ものづくり統括の森田常夫氏は、社屋のリニューアルについて、次のように語った。
  「最も古い建物は築50年なので、地震対策のために簡易診断を依頼したところ『リニューアルが必要』という結果が出ました。リスクヘッジのためにタイに工場を建設しましたが、本社工場も耐震補強をし、社員の命を守り、生産にも影響のないようにすることを決断しました。
  工事を発注する前に、まず私自身が東海地震や地盤について、十分に調べました。そのうえで、前田建設さんに地盤の液状化、建物のコンクリート、一番古い建屋の基礎に使われている松杭の調査を依頼した結果、すべて問題ないことが判明したので、リニューアルを決定。コンプライアンスに重点を置き、今後30年使える建物にしてほしいとお願いしました。
 通常の営業をしながら大改修をするために、まず機能していなかった西工場の改修工事を完了させ、本社棟の生産部隊を西工場に移転する。これにより本社棟にできる空きスペースを利用して、本社棟は『営業しながら施工』をすることにしました。スムーズに工事を進めるために、最初に施工、引渡し、引越し、稼動の綿密な計画を立て、その計画どおりに施工してもらいました。リニューアル工事の分科会をつくり、前田建設さんと一緒に毎週話し合いを重ねていることや、安全通路の確保により、工事中も通常の営業を続けています。
  西工場のフロア構成は、1階を製品倉庫、2階を生産工場、3階を部品倉庫とし、スムーズな生産の流れをつくりました。耐震・外装・内装・設備の全面改修は2008年11月に竣工し、12月から生産を開始。今後は、2階に社員のロッカールームをつくり、さらに福利厚生面を充実させる計画です。
 本社棟は、しっかりと耐震補強をしたうえで、必要に応じて外装・内装・設備も改修しています。また、4階を工場から食堂に、3階を工場から役員室にするというように、フロアの用途を変更しました。食堂を地下から4階に移動させたことで、雰囲気が明るくなり、福利厚生面が向上したと思います。
 建物内部に耐震ブレースが設置されたことについては、お客様から『耐震補強をしたので安心ですね』というお言葉をいただき、目に見える耐震補強が安心感につながることがわかりました。改修により社屋がきれいになり、スペースにゆとりができたので社員がとても喜んでいます。
 竣工まで残りわずかですが、特に火災には十分に気をつけて、引き続き安全に施工をしていただきたいと思います」
 2009年10月31日の竣工を目指し、改修工事は順調に進んでいる。

西工場改修後の外観

西工場改修後の外観

西工場改修前の外観

西工場改修前の外観

株式会社エルモ社
取締役 常務執行役員 ものづくり統括

森田 常夫氏

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