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2011年3月の九州新幹線全線開業に向けて、JR熊本駅周辺の再開発が進んでいる。その核となる建物が「熊本合同庁舎A棟」だ。
現在の熊本第一合同庁舎が老朽化したことに伴い、業務や利用者の利便性に支障が生じてきたため、新庁舎を建設し、分散していた6官署を集約して公務の効率を向上させ、利用者へのさらなるサービス向上を図ることになった。
設計担当者である株式会社安井建築設計事務所設計主任の小島幸弘氏は、次のように語った。
「設計は、安井建築設計事務所が総合的な意匠・構造・設備設計を、ペリクラークペリアーキテクツジャパンが主に外観デザインを担当する設計共同体の体制をとり、2004年にプロポーザル方式で受注しました。
設計の基本コンセプトは、熊本駅周辺の核となる施設づくりです。それにふさわしい景観づくりと、ユニバーサルデザインによる人にやさしい建物づくりを目指しています。
外観は、落ち着いた2色のアースカラーを選び、タイルとアルミキャストという2種類の素材を用い、通風ができメンテナンス性とデザイン性を備えた縦すべり窓を採用し、軽快な印象に仕上げました。
景観に関しては、合同庁舎整備協議会にデザイン案や配置案をご提案し、ご承認をいただいた上で進めています。ご提案の際は、新幹線から見える建物の景観をバーチャルリアリティでご覧いただきました。
この庁舎には、行政サービスを行う官署が入居しますが、1階には一般の方々にも利用いただけるトイレや食堂があるので、ユニバーサルデザインに基づいて、どなたにも使いやすい施設づくりをしています。
新庁舎には旧庁舎と同様に、水害などの自然災害時に一般の方々の安全を確保するための防災機能も備えます。地下に官用車用駐車場、消火ポンプ室、受水槽室などを配置し、地下への入り口には防水板を設置。機械室は水害時を想定して2階に、非常用発電機は屋上に配置しました。
また、環境配慮型官庁施設(グリーン庁舎)の理念に基づき、熱源に氷蓄熱を採用するなど、環境への負荷軽減も考慮しています。
この現場での当社の担当は設計意図伝達までです。設計は理想を形にする仕事であり、その理想を具現化することが建設会社さんの仕事だと、私は考えています。前田建設さんは、プロセスを大事にし、マネージメントを徹底されていて、チームワークもよく、現場がいつもきれいなので、いい建物ができると信じています。今後も安全に気をつけて無事故で施工していただき、竣工したら一緒に祝杯をあげたいですね」。
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個室の間仕切り |
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多目的トイレのモックアップ
多目的トイレは、1階に右勝手・左勝手の2カ所、各階に1カ所、計13カ所設置した。施工に先立ち、多目的トイレのモックアップを現場事務所内に製作し、熊本県内の障害者6団体によるモックアップの確認とヒアリングを実施。そのご意見を反映し、障害のある方が快適に使えるよう配慮した。 |
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株式会社 安井建築設計事務所 設計主任
小島 幸弘氏 |
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