医療法人社団慈誠会
浮間舟渡計画建築工事#2

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「安心」と「快適」をめざして、着実に建設する

 前田建設は、介護付有料老人ホーム、病院、介護付老人保健施設の3棟すべてを受注し、施工している。

■全室個室の介護付有料老人ホーム
 2009年10月10日、着工。荒川に近いので、基礎工事の際は湧水を心配したが、山留めにシートパイル工法を採用したことが功を奏して、湧水の少ない状態でスムーズに工事ができた。
 地下には、厨房、露天風呂付の浴室、食堂、レクリエーション施設、管理室などを配置。1階から6階は、居室193室と食堂談話室で構成されている。居室はすべて個室で、トイレとミニキッチンを備え、ベランダもある、ワンルームマンションのような快適な空間に仕上げる。
 他の居室に先駆けて施工するモデルルーム2室は、入居者募集に役立てていただくことになっている。
 2010年8月9日に上棟し、12月初旬の完成を目指している。

■健康管理と治療を担う病院
 2009年11月10日、着工。院長や医療機器メーカーの要望を反映させて、使い勝手の良さを追求している。
 1階は、外来診療室、CT・X線室、レントゲン室、手術室、ナースステーション、訪問看護ステーションなど。2階は、浴室、検査室、厨房。3~6階は、病室149床。病室は3人部屋と個室があり、すべてのベッドに酸素や吸引などの設備を整えている。
 また、JRの東北新幹線と埼京線の線路に最も近いので、風の強い日に現場から物を飛ばすことのないよう、安全管理を徹底している。

■デイケア機能も持つ介護老人保健施設
 2010年1月23日、着工。1階は、デイケア室、リハビリテーション室、レクリエーション室、厨房、事務室など。2~6階には、193床の療養室がある、有料老人ホームと病院のやさしさを併せ持った建物である。
 有料老人ホームより4カ月遅れて着工したが、外構工事を除いて、12月中の建物完成をめざして施工している。

綿密な調整を重ね、スムーズに3棟を施工する

 この現場はJRの東北新幹線と埼京線の線路が近いので、施工に先駆けてJRに届出をし、事前協議をしたうえで着工。線路に物を飛ばすことのないよう注意を払って施工している。
 建物は3棟とも在来工法で施工。病院・老人保健施設棟の2棟は2階に連絡通路を設けて2棟をつなぎ、連携しやすくしている。また、荒川に近いことから各棟の地下に雨水貯留設備を設置して水害に備え、地域にもオープンな防火水槽を設置して火災に備えるなど、安全面に配慮している。さらに、屋上には芝生に替わる植物として注目されているクラピアというグランドカバー植物を植えて、緑化する計画だ。
 2カ月ずつの時間差で着工した3棟をスムーズに施工するために、現場に統括役を置いて全体の調整を図っている。統括役は、炎天下で作業を続ける協力会社の職員を見回り、塩飴や水を配りながら体調管理をするなどして、工事をバックアップしている。
 すでに内装工事が始まり、12月初旬に建物が竣工すると、駐車場などの付帯工事に取り掛かる。今後も着々と工事を進めて、無事にお引き渡しし、多くの人々に親しんでいただける建物に仕上げていく。

【介護付有料老人ホーム棟担当】

舟渡慈誠会作業所

工事課長

藤田 知弘

1997年入社 千葉県出身

需要の高い老人ホームを担当し、3棟の先陣を切って施工しています。基礎工事では湧水が心配でしたが、山留めのシートパイルが上手くいったので、スムーズに基礎工事を完了。猛暑の中でのコンクリート打設はコールドジョイントの防止等品質管理に努め、躯体を計画通りに施工し、無事に上棟できました。現在は外装・内装工事中です。自分で計画し指示して建物を造ることにやりがいを感じています。絵画鑑賞が好きなので、美術館を建設したいです。

【病院棟担当】

舟渡慈誠会作業所

副所長 若林 広英

1994年入社 千葉県出身

土木学科出身ですが、大学時代から本を読んで建築の勉強をしてきました。この現場では病院棟を担当しています。病院で働く方々の要望を把握し、X線やCTなどの医療機器メーカーとすり合わせをし、医療用ガス・酸素・吸引の配管などの設備との取り合いにも気を配って、使い勝手のよい建物にしたいと考えています。所長や副所長から病院建設のノウハウを吸収したので、今度は私が他の職員に病院建設のノウハウを伝えたいと考えています。

舟渡慈誠会作業所

建築係 小田嶋 圭

2005年入社 新潟県出身

中学校、マンション、工場、商業施設などの施工を経験し、2010年1月にここに赴任して病院棟躯体の鉄筋と外装などを担当。東京の現場はスペースが限られているので、工事車両や資材の管理が大変です。工程表を組み、クレーンなどの配置図も作成して、3棟合同で綿密に打ち合わせをし、計画通りに施工するように段取りをしています。当面の目標は一級施工管理技師の資格取得。将来は一級建築士として構造設計に進みたいと思っています。

舟渡慈誠会作業所

原島 直輝

2007年入社 東京都出身

大学では平面的な図面が立体的な建物になる過程がよくわからなかったのですが、現場でそれを理解し、新しい発見ができました。病院、商業施設、マンションの施工を経験して、2009年12月にこの現場に赴任。病院棟躯体の基礎工事やコンクリート打設を完了し、現在は内装工事を担当。チェックシートを活用して、仕上がりの向上と私自身のレベルアップに努めています。今後も病院や商業施設など不特定多数の人々が使う建物を建設したいと考えています。

【介護老人保健施設担当】

舟渡慈誠会作業所

副所長 天下井 順

1990年入社 茨城県出身

老人保健施設は、病院と老人ホームのやさしいところを足して2で割ったような建物です。老人ホーム棟より4カ月遅れて着工したのですが、他2棟の担当者や統括と常に工程調整して施工スピードをアップしています。エンドユーザーから「前田建設の○○○に建ててもらってよかった」と個人名を挙げてもらったり、協力会社の人たちから「また一緒に仕事をしたいです」と言ってもらえる様な仕事をしたいと思います。

舟渡慈誠会作業所

建築係 小林 雅知

2007年入社 東京都出身

生きた証しを残したいと思い建設業を選択。放射能でガンの手術をする機器を備えた病院の建設に携わったとき、初めて仕事の手ごたえを感じました。2010年2月にここに赴任し、老人保健施設の躯体工事と仮設を担当。地上階でのRC施工は初めてなので、病院棟や老人ホーム棟の施工状況を見て勉強しています。当面の目標は、詳細まで図面を読む力を付けること。将来はドームのような施設を造って、人々が楽しむ姿を見ることが目標です。

【工務】

舟渡慈誠会作業所

工事課長 原田 和彦

1996年入社 東京都出身

3棟の建物それぞれの使い勝手を考えて、図面を作成しています。例えば、トイレはモックアップを2タイプ造り、介護する方を招いて意見をうかがい、介護のしやすさに考慮して便器の高さを決めました。また、外装・内装の仕様は品質とコストを考えて、病院と老人保健施設は同じ仕様にし、老人ホームは少し変化をつけて、3棟に統一感を持たせました。この建物を含めて、何十年も多くの人々の記憶に残る建物を建てたいと思っています。

【統括】

舟渡慈誠会作業所

副所長 菅原 光宏

1989年入社 北海道出身

私は現場の統括を務めています。3棟の工期が少しずつずれているので、できるだけ先を見越して工事の進め方や手法を十分に考えて、スムーズな施工につなげています。完成まで、基本に忠実に、かつ安全に工事を進めたいと思っています。この現場で施工している3棟の建物は、若手職員の教科書のようなものです。今後ますます需要が高まるであろう高齢者福祉施設や病院の施工の特性を十分に学んで成長し、次の仕事に活かしてほしいですね。

昇降階段を明確に

施工中の安全への工夫として、階段の位置を青シートで表示。その他は、グレーシートで囲んでいる。

安全意識を高めるために、作業員の安全表彰を実施している。

ゴミ分別の徹底

ゴミは7品目に分別し、リサイクルを推進。中でも、ダンボールは現場近くの紙再生工場に、廃石膏ボードは石膏ボード工場に直送して、100%リサイクルしている。

自転車通勤の奨励

現場に自転車置き場を確保して、作業員の自転車通勤を奨励。同時に、公共交通機関での通勤を推進して、Co2削減に努めている。

壁面緑化

建物の西側にアサガオとゴーヤを植え、緑化を試みた。

騒音対策

現場での解体時には、近隣への騒音対策として、型枠の解体音を低減するように工夫した。

近隣清掃

作業員と職員が現場近くのJR高架下や道路清掃に取り組み、地域美化に努めている。

発注者様のご要望を建物に
反映させながら、
若手職員を育成する

舟渡慈誠会作業所

所 長

三浦 信一

 今回初めて慈誠会様の介護・医療施設を受注しました。ご要望をよくお聞きして、建物に反映させるよう努めています。
 この現場は若い職員が多いため、考えて仕事をする環境をつくることにより、人材を育成するよう心がけています。
 当社でも、少子高齢化社会を見据えて、病院や福祉施設などの実績を積み重ねています。
 この現場に携わった職員が様々な分野で頭を使った仕事で活躍できるよう、日々の仕事で力をつけて、ここでの経験を次の施工に活かしてほしいと願っています。

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