常陸那珂火力発電所2号機増設工事
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SIMAR工法施工機のロッド先端部の確認状況

SIMAR工法※、マルチジェット工法、スタビライザー表層地盤改良工法という新工法を採用し、環境に配慮しています
※Soil Improvement Method by Advanced Rod-compactionの略

 発注者である東京電力株式会社 常陸那珂火力建設所 土木担当 工藤芳昭氏は、本工事着工までの経緯と発電所の概要を次のように語った。「ここは1973年に米国から日本に返還された『水戸射爆撃場』跡地です。常陸那珂火力発電所の計画は1981年にスタートしました。2003年12月に運転を開始した1号機は、100万kWのベース電源(出力変動を行わないことを基本とする電源)として当社の電力供給の重要な一翼を担っております。
 当初は1号機に続いて2号機が建設される計画でしたが、電力需要の低迷等により着工が繰り延べされ、その間に2号機の事業主体が電源開発株式会社から当社へ変更されました。
 2号機増設工事のうち、貯炭場工事は2010年3月8日から2011年10月28日の工期で発注し、2014年12月の運転開始に向けて施工中です。
 貯炭場は、当社で唯一の屋外石炭燃料貯蔵施設です。環境保全対策としては、大気汚染物質の除去に排煙脱硝装置・電気式集塵装置・排煙脱硫装置が設置されており、石炭の粉塵対策として貯炭場周囲の遮風フェンス・散水装置・密閉式ベルトコンベア等が設置されています。
 発電所設備には、最新鋭の技術・設備を導入し、石炭火力としては最高レベルの熱効率約45%を確保しております」。
  前田JVへの発注経緯は「貯炭場工区の工事については建設会社6社より見積もりをいただきました。前田JVは最安値で、かつ固有の新技術・新工法であるSIMAR工法・マルチジェット工法・スタビライザーによる表層地盤改良工法をご提案いただいたので、チャレンジする姿勢で施工を発注しました」。
 同土木グループマネージャー 課長 出光恵氏は「前田JVは体制がしっかりしています。本社等からのバックアップ体制が充実していますし、前田グループのミヤマ工業さんをはじめ、協力会社との信頼関係も良好なので、安心して施工をお任せしています」と語った。
 工藤芳昭氏は「3つの工法それぞれの設計・施工に精通した技術者が現場に派遣され、我々からの質問に対して、丁寧かつ理論的に回答をいただいています。特にSIMAR工法に関しては、液状化研究分野での第一人者である東京電機大学 安田進教授との太いパイプを活用して理論を追求していることから、技術開発に真摯に取り組む企業姿勢を感じています。
 採用した3つの地盤改良工法の組み合わせによって、さらにECOな工事を実現できることがよくわかりました。今後も環境に配慮した新技術を開発し、理論的な根拠を提示していただければ、我々の理解を深めたうえで、積極的に採用したいと考えております」と技術開発への期待を語った。

SIMAR工法施工状況

地盤改良効果確認状況

東京電力株式会社
常陸那珂火力建設所  土木担当

工藤芳昭氏

東京電力株式会社
常陸那珂火力建設所 
土木グループマネージャー 課長

出光 恵氏

完成予想模型

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