(仮称)東根市立神町小学校分離校
整備等事業#1

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外観 敷地の形状を活かし、使いやすく親しみやすい建物に。

敷地配置図(概略)

屋上プール

屋上プール
学童保育所の屋上に設置し、北側は住宅地に配慮し遮音壁を設け、南側には外部からの視線に配慮し再生木ルーバーを設置した。

浄水装置

浄水装置
プールの機械室には、プール用ろ過装置だけでなく、災害時にプールの水をシャワーや飲料水として活用するために浄水装置も設置した。

モニュメント

 

太陽光発電

 

アルコーブ   学年ユニット ワークスペース

モニュメント
風力発電により時計足元のLED照明を点灯。子どもたちが自然エネルギーを身近に感じることができる。

太陽光発電
昇降口前アプローチの壁に設置し、照明用電力の約10%を供給。

アルコブ
子どもたちがわくわくする隠れ家のような空間。

学年ユニット ワークスペース
学年ごとに設けた多目的スペース。通常はL字型のスペースとして学年集会などに使用し、可動間仕切りを使えば1クラス増やせる。

体育館   おおもりホール   学童保育所

体育館
床や壁に木をふんだんに使っている。

おおもりホール
壁に木材のグラデーション張りを施し、吸音性を高めた多目的ホール

学童保育所
可動式間仕切りと床暖房を備えた畳敷きの学童保育室。

PFI方式で、一般財源を平準化し、民間ノウハウを十分に活かして、安全面に配慮した小学校を建設。
※Soil Improvement Method by Advanced Rod-compactionの略

 東根市立大森小学校の建設について、元東根市総務部 プロジェクト推進課 課長 黒田長氏は「東根市は区画整理に取り組み、工業団地への企業誘致に力を注いできました。その結果、新規市街地への人口集中に伴い、既存の神町小学校と東根中部小学校の児童数がいずれも800人規模になり教室が不足したため、分離校の整備が必要になりました。
 しかし、国庫補助金や地方交付税の削減により、市の財政は非常に厳しい状況です。また、従来の手法では、特別基金で一時金を調達したうえで建設しなければならないので、着工までに10年以上かかります。
 PFI方式の場合は、一時金の調達をせずに事業に着手でき、借入金を割賦払いで返済するので、一般財源を平準化できます。また、『性能発注』により、民間のノウハウを十分に発揮してもらうこともできます。さらに、入札の際は、総合評価一般競争入札方式により、内容と価格の両面から検討できるというメリットがあります。
 大森小学校は、東根市では消防本部、学校給食センターに次いで3例目、学校としては山形県初のPFI方式での整備となりました。
 入札の際は、大学教授などの有識者を中心として、動線や教育環境、不定形の敷地の活かし方などを公正に審査しました。その結果、児童の安全確保という観点から、敷地北側の突き出した部分に駐車場を置き、プールを屋上に設置した案を総合評価の最高得点で採用しました。この案は、敷地の西面と平行に特別教室棟を置き、その西側に3棟の学年ユニットを配したフィンガー構造の優れた設計です。このようなことから、設計から建設、維持管理までを『さくらんぼ東根学校PFIサービス(株)(SPC)』に一括発注しました。
 ただ、PFI方式は手続きや契約が非常に複雑です。今後は小さな自治体でも活用できるよう、学校や庁舎などの用途に応じてパターン化することが必要だと思います」と語った。
 東根市教育委員会 管理課 学校施設主幹 中野智治郎氏は「要求水準書を提示する『性能発注』により、堅実にPFI事業を進めてきました。建設中の対応が早く、こちらからの質問に裏づけをきちんと示していただき、安全面に配慮した素晴らしい建物ができたと思います。市民の関心も高く、今年3月に開催した学校見学会には約3000人が訪れました。
 今後は建物のメンテナンスが必要です。通常は不具合が生じてから事後修繕で対処しますが、大森小学校は15年間、週2回のパトロールを行う予防修繕が契約に含まれているので、安心してお任せしています」と語った。
 大森小学校では2011年4月7日に始業式、8日に入学式が行われ、子どもたちの笑顔があふれている。

PFI事業・実施体制図

元東根市総務部
  プロジェクト推進課 課長
現東根市健康福祉部 部長

黒田 長氏

東根市教育委員会 管理課
学校施設主幹

中野 智治郎氏

東根市立大森小学校 校長

元木 正史氏

 本校は2011年4月1日に開校しました。現在、児童数547人、6年生4クラス、1~5年生は各3クラス、特別支援学級2クラス、職員数37人の東根市で一番大きい小学校です。
 私は今年3月までの3年間、教育委員会学校教育主幹として学校建設に携わり、教師の立場で安全性と使いやすさを考慮して要求水準書の作成から関わりました。
 PFI方式は設計変更は難しいと聞いていましたが、アルコーブのスリットを狭くすることや、転落防止のために階段の手すりを高くすることなど、私たちの意見も細部にまで反映していただき、安全な建物を丁寧に建設していただきました。
  新しい小学校ができたことを、子どもたちはとても喜んでいます。また、地域のみなさまから応援していただいています。子どもたちの安全を第一に考えて、特色ある学校づくりに取り組みたいと思います。

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