福島県楢葉町除染等工事#3

前田×復興 福島県楢葉町除染等工事 東日本大震災復興支援 2014

想いを胸に、挑む。

 

想いを胸に、挑む。

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楢葉町で確立した除染工事の
ノウハウを展開し、
東日本の復興に貢献していきたい。

 

楢葉町では「その1工事」「その2工事」と除染を進めてきました。現在は発注されたすべての除染作業を終了し、仮置場の維持管理と膨大な書類作成に注力しているところです。
 試行錯誤からはじまった作業ですが、それは除染のノウハウを身につけることにつながったと思います。
 例えば安全管理。私は以前から「安全と効率は比例する」と主張してきました。「安全対策は必要に迫られて支払うコスト」という固定観念があるのか、みんな怪訝な顔をしますが。
 しかし、今回の除染作業を見ても、やはり効率が段違いなのです。重機と人の動線を分けただけで、お互いがフル稼働できるようになる。作業がはかどることを体感すれば、作業員たちも「では、もっと効率を高めるには何をしたらよいか」と工夫するようになる。私は、そういう作業班にはインセンティブを惜しみませんし、日払いではなく請負で仕事を任せます。それが彼らのモチベーションを引き出し、さらに高い効率を生むのです。
 試験施工で想定された処理量は、一作業班あたり日に土嚢80袋でした。しかし、ここではそれ以上処理する作業班も珍しくありません。だから工期内に作業を完遂できたのです。
 東日本には、まだ除染の手がつかない地域もあります。そこに前田の除染工事の施工管理、作業員のマネジメントのノウハウを展開し、復興に貢献していきたいと考えています。

 

フォローアップ除染で、
除染作業の「品質」を担保する。

 

楢葉町では、除染作業後に繰り返し、敷地のすみずみまでモニタリングが行われます。僅かでも周辺より線量の高いポイントが見つかると、フォローアップ除染の専任部隊の出番です。現地ではまず自分たちで再計測して状況を確認。処理後も計測を続け、必要なら何度でも処理を繰り返すことになります。雨どいの下や木の根元など、水が溜まりやすい場所がウィークポイントで、約500戸を入念に再処理させていただきました。多いところでは1戸につき複数の再処理ポイントが見つかることもあり、作業量としては相当なボリュームです。そのすべてについて作業の一部始終を記録にとり、包み隠すことなく報告書にまとめました。町民の方は遠く避難先からご自宅のことを懸念されていることと思います。その不安を少しでも解消し、除染の状況を把握する一助になれたとしたら、私たちも地道な処理を続けた甲斐があるというものです。

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コールセンターと対面を通じ、
一人ひとりの町民の声を受け止める。

 

除染作業で大切なのは、土地を所有する町民や関係者の方々への対応です。一件ずつ作業の同意をとり、作業後にはどれほど線量が低下したかを報告書にまとめて郵送したり、ときには避難先を訪問して口頭でもご説明したり。膨大な件数ではありますが、きめ細かな対応を心がけています。さらに当作業所ではコールセンターも開設し、町民の方からの問い合わせにいつでもお応えできる体制を整えました。お叱りの声もありましたが、真摯に耳を傾ければ誤解は解けるものです。お詫びに避難先を訪ね、逆にねぎらいの言葉をいただいたこともありましたね。コールセンターで印象に残っているのは、お礼の電話。報告書を受け取り、自宅を確認した方が「ありがとう」と、わざわざ電話をくれることがたびたびあったのです。私もコールセンターのスタッフも報われると同時に、「早く自宅に帰りたい」という人々の思いの強さにうたれました。できれば、皆さんが帰町し、落ち着いたころにまたお会いできたらうれしいと思っています。

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現場の課題や仮置場の状況を、
地道な調査と計測で「見える化」する。

 

「楢葉町のために」と、この作業所には全国の前田事業所から職員が駆けつけています。私もそのひとりで、以前は技術研究所で化学や環境関連の研究開発を行っていました。ここは、そんな私の知見が活かせる現場です。土嚢に詰めた樹木や草木は発酵してガスを発生することがあるし、仮置場周辺の水質などの調査も重要。これらの調査や管理は、まさに私の専門とするところですから。また、コツコツとデータをとり、仮置場の状況を「見える化」することにも、研究職で養ったものが活かせているのではと考えています。着任した当初は曖昧な施工数量や作業の加減など、前例のない事態に作業所は混乱しがちでした。ブレークスルーとして、私たちは現地調査と地図の見直しなどを行いましたが、これは本来、請負業者の業務ではありません。そこにあえて踏み込むことで、工事をとめることなく完遂したところに前田らしさを感じます。その行動力や総合力は、これからの前田の「脱・請負」にきっと活かされていくはずです。

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