勝どき六丁目再開発#3

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 大規模な建築現場では、建設用の揚重機械設備が多数必要となる。この現場では、北棟・南棟それぞれにタワークレーン4基・工事用エレベーター3基、低層棟には走行式クレーン1基を設置し、効率よく資材を揚重している。
 タワークレーンのポスト(支柱)の1本の高さは通常6m。約200mのこの建物を建設するためには、ポストを280本用意しなければならない。また、クレーンを支えるための、壁つなぎの間隔は12mくらい。「そこでクレーンメーカーにポストの部材から検討してもらい、強化ポストを製作して、壁つなぎの数を通常の3分の2に減らしました」と機電担当課長の小林英治。
 マンションの建設には、多くの内装材が必要とされる。特にこの現場は戸数が多いので、資材の運搬が作業効率を左右する。
 「そのとき注目したのが、六本木ヒルズに設置されたダブルデッキ(2階式の輸送ケージ)エレベーターです。資材運搬用のエレベーターもダブルデッキにすれば、一度に2倍の資材を運搬できますからね。早速、2005年春からメーカーと本店を交えて開発の検討を始め、2006年4月に工場での実機試験を経て、この現場に設置しました」と小林。
 こうして、仕上げ用の資材の運搬を主な目的として、世界初の工事用ダブルデッキエレベーターを北棟に設置した。操作性・昇降スピードを従来機より改良し、階高の異なるフロアでも床の高さに合わせて自動着床するよう工夫した。これにより、資材の運搬効率が大幅にアップした。
 また、横に細長い低層棟の内部には、メーカーと共同開発した新型走行式・クライミングクレーンを初めて使用した。このクレーンは、資材を吊り上げたままレールの上を移動できるので、作業エリアが広く、建物外に設置場所を確保する必要がないというメリットがある。

勝どき6丁目再開発作業所
課長(機電担当)

小林 英治

再開発の全体像 人口1万人の一大居住区が出現する

 国内最大規模のマンションとなるため、万が一の地震や火災に備えて、設計段階から「耐火性能検証」や「避難安全検証」を行い、高度な安全性を追求している。
 このように、構造、工法、建設機械、安全面、品質の確保など、あらゆる点に工夫を重ねながら、2008年3月の58階の上棟を目指し、工事は着々と進んでいる。
 これから低層部および外構工事が始まると、素晴らしいランドスケープが姿を現す。住民の方は北側ミッドゲートから、エスカレーターで「エアリーコリドー」と、緑豊かな公園「セントラルパーク」へアプローチし、北棟「ミッドタワー」、南棟「シータワー」の3階メインエントランスへと導かれる。
 「ミッドタワー」は、3~30階が賃貸住宅813戸、31~58階が分譲住宅648戸。「シータワー」は、4~58階が分譲住宅1333戸。合計2794戸に約1万人が暮らす、中央区の一大居住区となる。
 高層棟の低層階には、スーパーマーケット、クリニック、保育所など、生活に必要なものすべてがそろい、朝潮運河沿いの「シーサイドアネックス」のスポーツ施設にて25mプール、フィットネスジム等も利用できる。さらに、駐車場1304台(立体駐車1281台)も整う。
 都心からベイエリアを眺めると、東京の景色が変わったことに気づくであろう。その中で、ひときわ目を引くツインタワー「THE TOKYO TOWERS」は、東京の新しいランドマークとして完成が期待されている。

 

 この現場では、毎日約1700人が働いています。全国から集まった職員、既存の協力会社、新規の協力会社、全員がこの現場に選抜されたことに誇りを持ち、切磋琢磨して仕事に取り組んでいます。
 現場も組織も日本一でありたい。そのためには、スポーツマン精神に則り『フェアプレイ』に徹することが第一です。
 作業所に基本理念を掲げることにより、一人ひとりが高い意識を持ち、書類の作成にも、現場の段取りにも、すべてにオリジナリティーを発揮することを求めています。
 その結果、この現場での経験や実績を、営業・技術の両面で水平展開していくことを目指しています。

所長の基本理念が、
仮囲に表明されている

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