品質向上に向けた取り組み

品質向上に向けた取り組み

  • 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 11 住み続けられるまちづくりを

方針・考え方

当社は、1983年に導入した総合的品質管理(以下、TQM)をもとに、国際標準規格(ISO)に適合した品質マネジメントシステム(以下、QMS)を構築し、ものづくりのしくみの維持と改善に取り組んでいます。品質方針の基本理念には、創業理念「良い仕事をして顧客の信頼を得る」を掲げ、発注者をはじめ、建造物のエンドユーザーや地域社会の皆さまなど、すべてのステークホルダーを「お客さま」(顧客)としてとらえ、それぞれの立場で「お客さま満足」の実現をめざしています。2017年度からは環境マネジメントシステム(以下、EMS)と統合した「品質・環境規程」を制定し、運用しています。

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マネジメント

当社の品質マネジメントは土木事業本部長、建築事業本部長をトップに、運用の責任者として土木部長、建築部長を任命し運営しています。また、前記の「品質・環境規程」ではQ0品質企画〜Q2,3設計~Q5契約~Q7施工~Q10品質評価までの10ステップを「品質保証体系図」に定め、各ステップでDR0~DR6の審査会・検討会を実施し、不具合防止や顧客満足の向上に努めています。

また、土木工事においては39件の土木技術ノウハウ集、建築工事においては、20件の前田規格と55件の前田ルールを定め標準化を図るとともに、随時更新を行っています。さらに、ICT(情報通信技術)や、BIM(Building Information Modeling:建築3次元モデル)を活用した安全管理・施工管理に取り組んでいます。具体的にはTPMm(施工管理システム)により、各種施工関連チェックの効率化、および確実なチェック体制により高品質な建造物提供に努めています。BIMについては関係各社を巻き込んだBIMの活用によって不具合発生を防止し、生産性向上に取り組んでいます。施工段階のBIMについては取り組みを各作業所で実践するために、社内周知教育を推進しています。また、建築社員向けWEB講座としてBIM・ICT講座「建築現場におけるICT技術の活用」を開設しています。

施工に関する不具合(品質・環境・安全)については、事後の対応によってリスクが大きく変わってくるため、当社では下図の「施工不具合対応フロー」を2007年に制定し、重大不具合への対応を定めています。その他の不具合は「不具合・是正DB」にて各作業所から情報が報告され、土木部・建築部で適宜、内容の精査・検討を行い、結果を再発防止策として水平展開しています。

品質の確保と向上のしくみ
  • ※1DR(Design Review)
  • ※2 トーク30:現場社員全員が集まり、不具合防止、施工VE、改善活動から現場の問題点までを、さまざまな観点から検討する会議
  • ※3 アイズ20:協力会社も含めた現場社員全員が、現場で現物を見ながら一緒に考える、あるいは所長、課長、主任が若手社員や協力業者に指導することを目的とした教育の場
施工不具合対応フロー(一部抜粋)

実績

土木部門

品質に関する取り組み

品質に関しては、工事の進捗に合わせて「施工検討会」を実施し、本支店・作業所が一体となって品質の向上に努めています。経験豊富なベテラン社員による各種検討会などへの参画や施工管理体制の強化、および品質不具合のデータベース化を図ることにより情報共有を進め、未然防止に努めています。2020年度に実施した作業所単位での検討会は、76作業所、延べ88回でした。

研修の実施

土木事業本部では、「強い個」の育成「強い組織」の実現をめざし、基本的な人材育成サイクルを回しながら、それを強化するさまざまな取り組みを実施しています。そのなかの一つに人材育成会議を中心とした若手社員の育成があります。人材育成会議は年に2回実施し、若手社員(2~5年目)の業務への取り組み、モチベーションの状況、成長度合などを基に人材育成方針を議論します。会議にはトレーナーの他、本店・支店の関係者および人材開発アドバイザーが出席し情報を共有します。決定された人材育成方針に基づき「成長を支援する面談」を通して、具体的な指導内容をトレーナーから若手社員に伝えます。このような取り組みを通して、本店、支店、作業所が一体となって若手社員の育成に取り組んでいます。

なお、これらの個々の社員の教育・育成状況はタレントマネジメントシステムに集約されています。

今後は若手社員だけでなく、集約されたデータや知見を活用した中堅・責任者クラスの研修を企画しています。また、2021年度より、現場での測量ミスを防止するため測量マガジンを発行しました。これは、単に若手社員の技量向上だけでなく、測量に関する指導に活用することで、若手社員と上長とのコミュニケーションツールしての活用を期待しています。

 このように、人材育成サイクルをステップアップしながら回すことで、人材を育成する風土が構築されています。

品質に関する教育は、毎年全社で行っている集合教育である、新入社員研修、3年次研修、5年次研修、10年次研修、中級管理者研修に加え、4年次にマネジメントシステム研修を実施しています。

 座学を中心とした上記の研修に加え、当社施工中の現場を利用した「現場を活用した技術研修」も行っており、2019年度は全7回開催され計99名が参加しました。2020年度はコロナ禍により開催は1回、参加者10名にとどまりましたが、2021年度は状況をみて開催する予定です。

さらに、すべての社員が必要に応じていつでも受講できるWEB講座を公開しています。

 土木WEB講座は、技術講座(コンクリート、土質、山留め等)、環境講座から構成されており、講師の講義ビデオを閲覧する形式で提供されています。2020年度末には、これまでの67講座に加えて、さらに5講座(コンセッション、地域戦略)を新たに開設し、計72講座で運営しています。2020年度は延べ1510回受講されています。

また、作業所の社員の受講しやすさを考慮して、個人ごとに各講座の受講進捗率を見える化している他、初級から課長対象および共通講座などのレベル分けを明示しています。これにより、個人ごとに希望する講座から、都合のつく時間だけ、かつ何度でも受講できるシステムとして社員に提供しています。

土木WEB講座
土木WEB講座

建築部門

建築工事においては、竣工後のクレーム件数を記録しており、2020年度に受けたクレーム件数は203件でした。クレームを受けた際には、該当工事の関係者、本支店関連部署が連携し、その内容を調査・分析するとともに再発防止に努めています。

品質に関する取り組み

施工中間段階にて中間時施工検討会を実施します。着手時施工検討会で決めたことが実践されているか、その時にまだ計画が決まっていないものが計画出来たか、などとともに、法規制を守っているかどうかの確認などを行っています。

建築では、着手時施工検討会に各作業所と支店の類似事例経験者や本店関連部署担当者が参画して、主に設計図から今後の施工を進める上での課題や問題点、検討事項を抽出し、それに対する対応などについて適切に指示、指導しています。2020年度の実績では、38現場(海外2現場)を抽出し、実施しました。

また、構造品質の確保、仕上げ・設備の品質の確保をめざした施工力向上パトロール(品質パトロール)を本店スタッフ、支店のSE・技術長を中心に実施します。2020年度の実績は64現場で延べ89回実施しました(コロナ対応で一部Teams参加)。

2019年度より作業所パトロール時に、スケッチコミュニケーションの取り組み確認と、作業所のレピュテーションリスクの抽出とその対策を確認しています。

また、各作業所の生産性向上への取り組み(生産性向上シート以外の技術・工法、工期短縮、ICT活用など新たな取り組み)についても、写真・図を持ち帰り、良い事例をアーキサイト(建築系社員向けホームページ)で展開しています。

・スケッチコミュニケーション⇒「スケッチを通じて考え、検討し、伝える能力」を養うことで、作業所での技術力の維持・向上を図ることを目的に、取り組みを始めました。いままでも実施していましたが、意識的に取り組むことで重要性を再認識し、技術力の向上を図っています。

・作業所のレピュテーションリスクの抽出とその対策⇒作業所のレピュテーションリスクに対する意識を高めるため、着手時施工検討会や施工力向上パトロールでレピュテーションリスクの現状や事例の周知を行い、各作業所特有のレピュテーションリスクを抽出させるとともにその対策を講じるよう指導を行いました。

建築知識2021年4月号に当社の事例が3事例記載されました。

当社事例
当社事例
研修の実施

品質に関する教育は、毎年全社で行っている集合教育である、新入社員研修、3年次研修、5年次研修、10年次研修、中級管理者研修に加え、4年次にマネジメントシステム研修を実施しています。

建築部門では新たな取り組みとして、全作業所の社員を対象に会社の信用を揺るがすリスク(品質)の排除を目的として、「教育キャラバン」として展開しました(コロナ禍のためTeams開催)。

①過去に発生した重大な不具合事例を発生原因から再発防止策までを周知させ再発防止を徹底する

→作業所所属の社員全員にあたる717名(追加として派遣社員79名、設計部門113名)に周知・展開しました。

②会社の信用を揺るがすリスク(レピュテーションリスク)の芽を早期に見つけ未然防止のための階層別、機能別の教育

→作業所所属の社員全員にあたる723名(追加として設計部門141名)に周知・展開しました。

今年度も、昨年同様Teamsにて教育キャラバン、レピュテーションリスクの継続実施で定着を図ると共に、前期に発生した新たな不具合についても展開・周知する予定です。

また、支店ごとの建築若手社員、協力会社勉強会を継続して実施しています。2020年度の建築若手社員(入社10年目以下)勉強会の参加者は、323名(受講率100%:上記教育キャラバン内で実施)でした。内容としては前年アンケートにより要望の多かった鉄骨工事、内装工事の施工上の留意点(管理のポイント)および不具合事例を展開しました。

協力会社勉強会の参加者は252社276名に上り、各支部の躯体専門業者、仕上げ専門業者ごとの勉強会を実施しています。協力会社は新規参入などにより対象人数が把握しにくいものの、今期も品質向上に向けた勉強会はもとより、労働災害未然防止に向けた安全教育、ICT関連技術の概要紹介も同時に展開する予定です。

教育キャラバンTeams開催状況
教育キャラバンTeams開催状況
若手社員教育 鉄骨工事の留意点
若手社員教育 鉄骨工事の留意点

さらに、これまで実施している各種集合研修や勉強会に加えて、すべての社員が必要に応じていつでも受講できるWEB講座を公開しています。建築WEB講座では、技術講座(コンクリート、鉄骨、杭・山留、設備)、原価・工務講座、安全講座および品質講座から構成され、毎年度の講座公開により、2020年度時点で計31講座を公開しています。2020年度は4講座(品質1講座、建築設備1講座、レピュテーションリスク1講座、安全1講座)を新たに開設しました。

また、作業所の社員の受講しやすさを考慮して、個人ごとに各講座の受講進捗率を見える化している他、初級から課長対象および共通講座等のレベル分けを明示しています。これにより、個人ごとに希望する講座から、都合のつく時間だけ、かつ何度でも受講できるシステムとして社員に提供しています。

建築WEB講座
建築WEB講座

BIM活用による品質向上への取り組み

建築の作業所では施工段階でBIMを活用し(以下、施工BIM)、生産性の向上品質を向上させる取り組みに着手しています。現在稼働中の約6割の作業所で施工BIMが適用されています。工事の完成状況をBIMのバーチャル空間で再現し、工事開始前に工事に参画する方々と徹底的にすり合わせを行うことで、工事開始後の不具合を低減させています。

BIM調整会議
BIM調整会議
配筋BIMモデル
配筋BIMモデル

施工BIMは作業所や専門工事業者が作成した製作図レベルのBIMモデルを活用します。工事関係者(建築主・設計者・協力会社・前田建設)が参加するBIM調整会議において、竣工後に見えなくなる建物の骨組み、設備ダクトや配管との干渉確認を行い、合意形成します。

また、BIMモデルにコンセント・スイッチの位置などを表現し、竣工後のイメージと使い勝手を建築主などに確認する取り組みも実施しています。その他、構造躯体の取り組みでは、柱梁の仕口部や変則的な躯体形状と鉄筋形状をBIMモデル化し、決められたルール通りに組み立てが可能かを検討する配筋BIMの取り組みや、施工計画の具体的なイメージを工事関係者間で共有し、施工手順を事前にシミュレーションすることで工事段階での不具合を低減させる施工計画BIMにも取り組んでいます。

BIMモデルの重ね合わせ
BIMモデルの重ね合わせ
施工計画BIMモデル
施工計画BIMモデル

このような施工BIMの取り組みにより、工事中の手直しや手戻りの減少、竣工後の品質の不具合の発生を事前に防止できることが確認できました。さらに図面検討の時間短縮(20〜30%短縮)、製作図面の早期承認による余裕ある工場製作の段取りや工事準備につなげるなどの効果も確認できました。また、2020年度より、プロジェクトの早い段階で合意形成を進めることで、後工程の手戻りや手直しを低減し、全体の生産性向上に繋げるフロントローディングの取り組みを開始しています。

施工BIMの取り組みを各作業所で実践するために、2017年度より新入社員から作業所長まで階層別に社内周知教育を進めており、多くの作業所でBIMを活用した施工管理ができるように取り組みを推進させる計画です。