前田建設工業株式会社(本社:東京都千代田区、社長:前田操治、以下、「当社」)は、株式会社前田製作所(本社:長野県長野市、社長:伊藤正義、以下、「前田製作所」)とともに、既設の導水路トンネルリニューアル工事を対象としたパネル貼り付け作業で、パネルの揚重と位置合わせ作業を機械化する「パネルライニング台車(以下「本機械」)」を開発しました(写真-1)。
写真-1 パネルライニング台車 全景
2024年10月より、大分県日田市で当社施工中の水力発電所更新工事において、本機械を導入し効果・性能を実現場で確認、パネルの把持から位置合わせ作業までがワンオペレーションを可能とし従来の作業人員を約50%削減できることを確認しました。またパネル取り付け時の指の挟まれなど作業員の安全リスクも軽減し、省力化と安全性向上を実現しました。
現在、我が国の水力発電設備のリニューアルは急務であり、関連する導水路トンネルのリニューアル工事が多数計画されています。従来、これらの工事は人力作業が多い上、ワンオペレーションが難しく生産性の低さ、技能労働者不足などの問題が深刻化しており、労働投入量削減に寄与する技術が求められています。
写真-2 従来作業状況
本機械(図-1)は、トンネル内の作業者の安全な通行や運搬経路確保を考慮した門型台車となっており、その先端に取り付けられた「パネル貼り付け機構(図中①)」と左右の「上部ステージおよび下部ステージ(図中②)」で構成されています。さらに、パネル貼り付け機構(写真-3)は、「アーム部(写真中③)」と「パネル把持ユニット(写真中④)」で構成されています。
・台車 :4輪インバータ駆動式で走行し、左右駆動モーターの速度差を利用した曲線移動が可能です。
・ステージ:作業に合わせて前方張出しが可能です。
・アーム部:左右旋回、水平スライド、アーム伸縮、把持ユニットチルトの操作が可能です。
・パネル把持ユニット:パネルライニング工法で使用するレジンコンクリートパネルを把持し、所定の位置まで移動させることができます。先端部の真空ポンプを用いた吸着パッド(Φ300mm)の把持能力は水平方向で100kgになります。ユニット部は回転、旋回、起伏、横移動の操作が可能であり、パネルを取り付ける際の微妙な位置合わせを行うことができます。
図-1 ステージスライド機構
写真-3 パネル貼り付け機構
当社は、本機械の更なる改善を図るとともに、「吹付け・左官自動施工台車※」などの開発とともに、更なる自動化施工の実現と労働投入量の低減・作業員の安全性向上に寄与する開発を目指してまいります。
※関連リリース
2024年7月12日「水力発電施設の導水路トンネルリニューアル工事向け『吹付け・左官自動施工台車』を開発、実用性を確認」
(https://www.maeda.co.jp/news/2024/07/12/5522.html)
<問い合わせ先>
インフロニアホールディングス株式会社
(前田建設 広報担当)
E-Mail:maeda-release@jcity.maeda.co.jp
パネル貼り付け作業を機械化する「パネルライニング台車」を開発、実工事へ導入~導水路トンネルリニューアル工事における労働投入量を削減~