技術の概要
背面平滑型トンネルライニング工法(FILM)は、吹付けコンクリートの凹凸部と型枠に設置した防水シートとの空隙に裏込め充填材等を充填することにより、覆工コンクリート背面を滑らかなトンネル形状に仕上げ、防水シートを全面接着する工法です。「コンクリートの充填を妨げず、かつ吹付けコンクリートに密着するような防水構造、及び確実なアイソレーション(縁切り)機能をもつ高耐久性トンネル」を実現することができます。防水シートをシート張り専用の移動式型枠(セントル)の上に載せ、これを吹付けコンクリートに接近させ、シートと吹付けコンクリートとの空隙に充填材を注入充填します。その結果、凹凸のない滑らかなトンネル形状に展張りされた防水シートが構築され、覆工コンクリートとの確実なアイソレーションが可能となります。
技術の特徴
- 1.吹付けコンクリートと防水シートの間に充填材を充填することによって、防水シートを円滑なトンネル形状に展張りし、確実なアイソレーション効果を発揮する工法です。
- 2.都市部のように地下水位が高く、かつ地下水位の低下が制限されるような条件下での山岳トンネルエ法(NATM)適用時には、確実なウォータータイト構造が構築できます。

メリット
- 1.防水シートと吹付けコンクリートとの間に「水みち」となる空隙がなくなるので、確実なウォーターバリアを構築します。
- 2.ロックボルト頭部等の突起物や鉄筋作業によるシート破損が少なくなり、防水に対する信頼性が向上します。
- 3.覆工コンクリートの巻厚が一定となり、覆工コンクリートの品質が向上します。
- 4.覆工とシートのアイソレーションが向上し、覆工コンクリート背面の拘束が低減されクラックが発生する危険性が小さくなります。
- 5.吹付けコンクリート仕上がり面の凹凸が許容されるので、切羽での施工サイクルが短縮します。
- 6.シート敷設作業が機械化施工になるとともにロングスパンシートを採用するため、溶着作業も少なくなり、作業員を苦渋作業から解放します。

特記事項
シート敷設用の専用型枠台車、充填材の製造・注入設備が必要となります。
- 実績
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- 常新、南流山T(西平井)他工事(H15) 千葉県 日本鉄道建設公団関東支社
- 一般国道455号(仮称)北山トンネル築造工事 岩手県 岩手県盛岡地方振興局
- 都留第二トンネル工事 山梨県 国土交通省関東地方整備局
- 金沢東環 卯辰トンネル(II期線)工事 石川県 国土交通省北陸地方整備局
- 宮崎10号 宇和田トンネル新設工事 宮崎県 国土交通省九州地方整備局
- 一般国道229号梅川トンネル 北海道 国土交通省北海道開発局
- 九州新幹線(西九州)俵坂トンネル(西)他 長崎県 鉄道建設・運輸施設整備支援機構
- 国道108号花渕山4号トンネル工事 宮城県 国土交通省東北地方整備局
- 東九州自動車道落鹿トンネル工事 宮崎県 西日本高速道路株式会社
- NETIS登録No.
- KT-050098-A 注:2011年11月に登録抹消
- 適用工種
- 山岳トンネル
- 関連資料
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- 「防水シートの背面に充てん材を注入し都市NATMトンネルの防水性を向上」
日経コンストラクション 2003.7-25号 pp.18 - 表面平滑型シート防水工技術資料 —ハイ・イータス工法編—
ジェオフロンテ研究会 2004.11.30
- 「防水シートの背面に充てん材を注入し都市NATMトンネルの防水性を向上」
- 備考
- 平成16年度土木学会技術開発賞受賞