
トンネル内部には、二次覆工により上下2段の水路を構築する。急曲線部にコンクリートを打設する工事には、想像以上の難しさがある。R=30mを施工するために、左右の幅が異なるカーブライナーを装備したセントル(鋼製型枠)を製作。曲線部分では、一次覆工であるセグメントのカーブに合わせるようにカーブライナーで微調整している。
また、コンクリート1m3に300kgもの鉄筋(以下、300kg/m3と表現)を施工するために、鉄筋を運搬する台車を3台配備し、搬入の効率化を図った。鉄筋を組み立てる作業は、鉄筋工の手作業で行われている。
さらに、超過密鉄筋にコンクリートを打設するという難しさもある。通常は200kg/m3で過密鉄筋だが、ここでは300kg/m3もの鉄筋を使用するため、隅々まで均等にコンクリートを充填するには技術を要する。そこで、コンクリートの配合にも検討を加え、高性能減水剤を使用した流動性の高いコンクリートを採用。地上でコンクリートミキサー車を手配する職員と、トンネル内で打設を指示する職員が連携して、コンクリートを打設している。特に夏は、コンクリートが硬化し始めないうちに打設し、必要な養生期間をとって、品質を確保している。
二次覆工は始まったばかりだ。約3年間にわたり品質確保に重点を置いて着実に施工し、二次覆工の品質が評価されて、長く使われる下水道にすることを目標にしている。


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鉄筋台車
鉄筋の設置には3台の台車を使用し、作業効率と安全性を高めている。 |
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上部セントル(工場内)
二次覆工は、下部と上部に分け、下部のコンクリートを施工したあと、上部用セントルを使用してコンクリートを打設している。 |
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地震警報装置
2011年3月11日の東日本大震災のあと地震警報を導入し、震度4以上の地震をいち早く察知して安全を確保している。また、職員は固有回線のPHSを携帯し、災害時も現場内外との連絡がスムーズに取れるようにしている。 |

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屋上緑化
現場事務所の屋根を緑化して、省エネルギーを図っている。 |
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現場見学会
韓国や中国、サウジアラビアなど海外からの見学者を含めて、2010年だけで約2000人の見学者が訪れたことから、防災への関心が高いことがわかった。 |
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