徳島県立中央病院
改築工事のうち建築工事#1

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徳島県唯一の基幹災害医療センターとして強い構造を確保し、
理想的な療養環境を備え、ドクターヘリを常駐させて、徳島県民の「安全・安心」を実現します。

 徳島県立中央病院改築工事の経緯について、徳島県病院局 経営企画課施設整備推進室 室長 松田稔氏は、次のように語った。
 「現在の建物は築40年弱を経過したため、設備が老朽化し、病室や診察室、検査室も最新の設備に対応しづらく、エレベーターの数も少ないので、使いにくくなっています。自家用車で来院する方が多いので、現在の駐車場では収容台数が不十分です。また、徳島県立中央病院は県下で唯一の基幹災害医療センターに指定されているのですが、設計が古いため耐震性が不十分で、ヘリポートもないという問題点もあります。このようなことから、改築に着手しました。
 平成17年度(2005年度)から基本設計に入り、途中、計画変更を経て、平成21年度(2009年度)に着工しました。
 建物の施工については総合評価方式による一般競争入札により前田JVさんに発注し、監理は設計JV、設備工事は設備JVに発注しました。
 基幹災害医療センターは、大規模災害の際、初期段階から被災地で迅速な医療活動を行います。徳島県で災害が起きた場合、この病院が災害救護活動を行うために、免震構造を採用して十分な強度を確保しました。
 さらに、屋上にヘリポートを設け、ドクターヘリを常駐させる計画です。これまでは消防防災ヘリコプターに救急用の装備を搭載し、医師を乗せて現地に向かう状況でしたが、ここからドクターヘリが救助に直行することにより、徳島県民の『安全・安心』という大きなテーマを実現できます。
 現在、ドクターヘリが活動しているのは、全国で28カ所、近畿圏では大阪府、和歌山県、兵庫県に次いで、徳島県が4県目となります。
 また、療養環境を整えるために、4床病室のすべてのベッドに窓をつけて陽が当たるようにしています。色彩計画は、病室と同じ茶系やベージュ系の色彩を手術室にも採用するという斬新なもので、談話室の天井などには県内産の木材を使用します。
 この建物の完成後は、現在の建物を解体して駐車場にし、外来駐車場の収容台数を現在の約300台から400台にする予定です。
 県立病院が大学病院に隣接しているのは、全国でここだけです。だからこそ、この立地を生かすために、中央病院と大学病院を連絡橋(別工事)で結んで『総合メディカルゾーン』として協力体制を築こうとしています。
 大きな工事ですので、騒音・振動などで近隣の方々にご迷惑をおかけすることもありますが、統括所長や所長をはじめJVのみなさんに適切に対応していただいています。今後さらに多くの業者さんが施工に携わるので、安全管理に十分配慮して、いい建物を建設していただきたいと思います」。
 2011年度中の竣工を目指して、病院建設が着々と進んでいる。

   

4床病室(完成イメージ)

病室は、個室と4床室を中心としている。個室にはトイレと浴室を完備。4床室は、各ベッドが必ず窓に面した個室的多床室とし、入院患者さんの快復を促す工夫がされている。

 

中央ホール(完成イメージ)

徳島県の特産品を活かすという趣旨で、エントランスホールの壁には青石や藍染のタペストリーを配し、照明には青色LED電気を使用。患者さんの気持ちを明るくするよう、落ち着いた中に明るい雰囲気を醸し出す。

 

改築前の中央病院
(現在も敷地内で開業中)

築40年弱の建物が大切に使われているが、外壁や外階段などに傷みが目立つ。また、エレベーターが少ないので、患者さんの移動などに不便さを感じているようだ。新しい建物の完成後は、この建物は解体し、跡地は病院の駐車場になる。

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