10階建ての躯体には、柱・梁・床版にPCを採用。その一部に高強度コンクリートを使用して、強度を確保している。PC工法の利点は大規模な建物でなければ発揮できないため、徳島県内ではあまり施工実績がなく、PC生産拠点も、建設作業員も徳島県内だけで確保することは困難だった。そこで、柱と梁のPC製造は兵庫県を中心として一部を徳島県でも製作し、床版PCは三重県や九州で製作して船で輸送した。
現場には、PCを搬入する大型トレーラーが1日に20台も出入りするため、タワークレーン2基を建物のエレベーターシャフト内に設置して、ヤードを確保。同時に建物の外に自走式クレーン2基を配置し、計4基のクレーンで、建物のすべての位置にPCなどの建材を揚重できるよう工夫した。9月には大型台風が徳島県を通過したが、作業の遅れはなく、9月上旬にタワークレーン2基の解体を完了した。
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免震装置
写真右の「積層ゴム」はゴムと鋼板が交互に重なっており、ゴムで地震の力を建物に伝わりにくくし、鋼板で建物を支える。積層ゴムは元の位置に戻りにくいので、写真左の「オイルダンパー」のオイルの流れによる減衰力で揺れを抑える。 |
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PC梁の揚重
柱・梁・床版にPC工法を採用し、現場での作業を極力削減している。そのため、クレーンを使用して、重いPCを安全に揚重することが主な課題となった。PCを運搬するときは、クレーンのオペレーターと、PCを受け取って設置する作業員が無線で連絡を取り合って、安全かつ確実な作業を心がけた。 |
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