プロロジスパーク大阪4新築工事#1

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物流の好適地、大阪ベイエリアにカスタマーに信頼される最新の大型マルチテナント型物流施設を開発

 「プロロジスパーク大阪4」開発について、プロロジスの武田諭氏は次のように語った。
 「2008年に、前田建設さんから『この土地を物流用地として活用してはどうか』というご提案がありました。大阪ベイエリアは物流拠点の好適地であり、大規模な倉庫床面積を確保できるので、大型マルチテナント型物流施設の建設を決定しました。
 その後、リーマンショックの影響でプロジェクトを一時凍結しましたが、2010年秋に再開。ところが、着工前の3月11日に発生した東日本大震災で、当社の宮城県多賀城市の物流施設が地震と津波の影響を受けました。被害はそれほどなかったもののBCP(※1)の観点から施設仕様の再確認と改善を行い、倉庫区画の間仕切り壁やシャッターの耐震対策、倉庫棟とランプ棟間のエキスパンションジョイントのより大きな変位への対応、受電設備の設置位置の再検討など、東日本大震災規模の地震を想定した設計変更をお願いしました。
 建物の品質管理は監理者である前田建設さんを中心に、レンドリースさんにも監理監修の立場で携わっていただきました。施設の重点項目である床と外壁は、施設をご利用いただくカスタマーに信頼していただける精度と仕上がりを確保しました。
 特に床に関しては、クラックを発生させる可能性のある仕様は設計上で全て見直し、また私共が講師を招いたコンクリート打設講習会を前田建設さんほか協力会社の作業員の皆さんと一緒に受講し、共通の認識を持つことで、12万㎡の床全てが所定のレベル精度内に収まり、クラックも一つもないという成果を収めることができました。
 施設としては、各フロアに事務室、荷受室、リフレッシュルームなどを設けるほか、1階エントランスに24時間常駐の中央管理室、上りランプ下にはトラック運転手用のリフレッシュルームやシャワー設備、5階にはカフェテリアと売店を設置します。本事業では施設管理会社やカフェテリア運営会社を工事着工前に決定し、施設運営に実質的に関わる皆でアイデアを出しながら施設造りを行ってきました。
 環境面では、植栽灌水への雨水利用のほか、共用部には積極的にLED照明器具、カスタマー区画である倉庫と事務所には環境配慮型照明器具を採用することなどにより、CASBEE(※2)大阪 Aランク認証の施設として開発されました。
 このように、本施設の開発と運営を通して、お客様に対し、他に例を見ないカスタマーサービスと、環境に配慮した持続可能な最新の物流施設の提供を実現できると自負しております。
 関西地区において2012年に完成する大型マルチテナント型物流施設は、ここだけです。物流拠点としての需要が高まる中で、とても良いタイミングでオープンできます」。

※1「BCP」とは、地震などの緊急事態に備えた「事業継続計画」のこと。

※2「CASBEE」(建築環境総合性能評価システム)は、省エネルギーなどの環境配慮、 室内の快適性や景観への配慮なども含めて、建物の品質を総合的に評価するシステム。

プロロジス
バイスプレジデント
コンストラクション・マネジメント部
部長

武田 諭氏

 

プロロジス様は、物流不動産のリーディング・グローバル・プロバイダーとして、アメリカ大陸・ヨーロッパ・アジアの22カ国で合わせて約5,420万m2の物流施設を所有・運営・開発。関西地区では大型マルチテナント型物流施設「プロロジスパーク大阪1」「プロロジスパーク大阪2」「プロロジスパーク舞洲3」「プロロジスパーク尼崎2」の4棟と、センコー専用物流施設「プロロジスパーク舞洲4」、DNPロジスティクス専用物流施設「プロロジスパーク高槻」、パナソニック ロジスティクス専用物流施設「プロロジスパーク尼崎1」を展開している。

完成予想図

1階は南北倉庫エリアの外側と中央車路の両側にそれぞれバース(トラックを停車して荷物の積み下ろしを行う場所)を配置。2階以上は中央車路の両側にバースを配置し、上りランプウェイ→中央車路→バースで荷物の積み下ろし→中央車路→下りランプウェイの一方通行にして、安全性を確保し、作業効率を高める設計に。2つのランプウェイが建物のアクセントになっている。

外壁はモックアップで検証

外壁からの漏水防止は商品を守るための重点項目なので、モックアップを作って検証し、水漏れがないことを確認したうえで施工した。

用地は前田建設の元機材倉庫を有効活用

前田建設関西支店がPC工場、仮設資材倉庫などとして保有していた土地を、プロロジス様にご利用いただくことにより、先進の物流倉庫の建設が実現した。

床コンクリート打設講習会

床コンクリートの平滑さとひび割れ防止は、ラックの安定性を高めて商品を守るための重点項目だ。そこで、外部から講師を招き、床コンクリート打設講習会を開催。講習会には、プロロジス様、前田建設技術研究所職員、支店建築部、現場職員、作業員が参加した。

床コンクリート打設状況

コンクリート打設の際は職員が立会い、床レベル測定器4台を設置して厳密に管理し、3mあたり0~+3mm以内の目標値で平滑な床コンクリートを施工した。

前田建設工業株式会社
建築事業本部
建築設計第一部 関西設計グループ
チーム長

竹内文夫

本施設の設計は主に関西設計グループが担当しました。大型車が各階に直接乗り入れ可能なランプウェイを2基設け、複数のカスタマーが効率的に物流作業ができる施設となっています。容積率は法定限度200%を最大限に活かした199.88%を確保。階高が高く床荷重も大きいという施設の特性から、構造に十分配慮して設計しました。柱はSRC造、梁はS造、外壁はALCの耐震構造。らせん状のランプウェイ部については、柱をSRC造、梁はS造、RC手摺にはPC版を採用し、スピーディーな施工と同時に高い品質を確保しています。また、地震・津波からカスタマーの商品をお守りする対策として、シャッターや間仕切り壁を強化し、電源確保のため、ランプ内に設置したキュービクル式高圧受電設備の設置部をかさ上げしています。自治体の条例に準拠した緑化計画と防災計画に加え、雨水再利用、LED照明、人感センサー採用など数々の対策を行い、高機能で環境にも配慮した施設になるよう設計しました。

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