プロロジスパーク大阪4新築工事#2

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基礎工事の施工性を徹底追求

 2011年2月から3月にかけて、前田建設の既存建物を解体。その最中、3月11日に東日本大震災が発生。より安全・安心な施設を提供するために対策を講じたうえで設計を変更。3月25日に着工した。
 場所打ちコンクリート拡底杭264本の工事は、杭打ち機を4台並べて、1台あたり1日2本、4台で1日8本のペースで、建物の東から西に向かって施工。掘削の際は、既存障害物を取り除きながら作業を進めた。
 5月には、杭工事とラップしながら掘削を開始し、均しコンクリート打設まで完了。均しコンクリートには、建設発生土・建設発生汚泥等を再利用した高規格流動コンクリートを使用した。
 次に基礎・地中梁を施工。基礎コンクリート打設用足場は、効率よく移動できるよう工夫し、鉄骨ベース下グラウト用型枠を改善して施工性を高め、8月末に基礎部鉄骨と地中梁配筋を完了した。

移動式屋根成形架台

建物と敷地の間隔が狭いので、2段式の架台を計画し、施工性を高めた。

鉄骨建方に工夫し、床と外壁の精度を確保

 7月下旬に地上鉄骨建方を開始。建物中心部から鉄骨建方を開始した。
 鉄骨建方は、倉庫部分を東西南北の4工区、上り・下りランプウェイを2工区と、全6工区に分けて協力会社5社に発注。工期を守り、調整しながら施工できるよう、中心部から外側に向けて施工。建方はエリアごとに管理し、打ち合わせの際に施工法を徹底して品質を確保しました。
 また、柱の鉄骨に鉄筋をセットして一緒に揚重できるよう、鉄骨に取り付ける鉄筋の受け金具(前田推奨事例)を改善して、作業性と安全性を高めた。
 重点項目である床コンクリートの打設は、講習で学んだことをもとにして独自に工夫し、3mあたり+3㎜以内の目標値で平滑な床コンクリートを施工した。
 外壁からの漏水防止については、ALCの外壁からの漏水を防ぐための二重シールのモックアップを作って検証し、高品質を実現した。

らせん状のランプウェイを施工にも活用

 床コンクリートを打設した後、柱のコンクリートを打設。11月末にはランプウェイの鉄骨建方が完了し、ランプウェイのPC版と倉庫の屋根の施工を開始。
 屋根取り合い部分のALC板を鉢巻状にして先行貼りを実施。この屋根を施工するために計画した2段式移動成形架台を建物の南側に設置して、1枚168mの屋根材を繰り出し、約1カ月で屋根の工事を完了した。
 同時に、ランプウェイのコンクリートを打設。ランプウェイを工事用通路として活用し、設備工事や内装工事を進めた。
 3月中には外部の足場をほぼ解体。3月末には、外構工事を開始。
 4月に入ると、5月31日の竣工を目指して、外構工事が本格化。建物では、床コンクリートの研磨、事務所やカフェテリア・売店の内装工事・設備工事、ランプウェイの路面仕上げが急ピッチで進んでいる。

地中梁大板型枠の地組み

地中梁大板型枠は地組みして、クレーンで揚重し、建て込んで、省力化を図った。

鉄骨ベース下グラウト用型枠

基礎部鉄骨ベースプレート下のグラウト注入は、自在ベニヤをゴムバンドで締めて再利用できるよう改善した。

柱主筋受け金物の改善

鉄骨建方の際、鉄骨に鉄筋を預けて揚重し、躯体工事の作業性と安全性を高めた。 これは、当社の他の現場で開発し、全社奨励事例として紹介された方法に改良を加えたものである。

柱システム型枠工法

1フロアあたり220本のSRC造の柱にコンクリートを打設する際は、施工性の高い型枠を使用。

ランプウェイのPC腰壁

ランプウェイの腰壁は在来工法からPC版に変更し、工期短縮と品質管理を図った。 ランプウェイが楕円形なので、形が異なる24種類のPCを製作した。

倉庫部床コンクリート仕上げ

仕上げ工事として床コンクリートを研磨し、表面強化材を塗布する。

エコポート

現場の自転車置き場の屋根に太陽光発電を採用し、事務所の照明用として使用している。

西淀川作業所
工事係員

林 亜弥

2008年入社 兵庫県出身

ものづくりや町で生活する空間をつくることに興味があったので、大学で建築設計を専攻し、入社しました。これまでにマンション2棟の躯体建設を経験し、この現場に赴任。ドライバーさんの休憩の場や、テナントさんの詰所の内装工事を担当しています。内装工事は初めてなので、作業工程をしっかりつかんで、最初の墨出しの段階で納まり良く仕上げるためのポイントを押さえ、どの工種に何日かかり、その間に何を準備すればいいかを把握して施工するよう努めています。順調に作業を進めるためにはコミュニケーションが大切なので、職長さんに「私はこうしたいんですが、どうしたらいいですか?」というように、やりたいことをわかりやすく伝え、理解して協力してもらっています。現場でのやりがいは、図面からどういうものをつくるかを読み取り、日々変化していく建物を見られることです。

西淀川作業所
工事主任

辻岡羽矢人

2001年入社 福井県出身

北九州の複合施設リバーウォークでのコンクリート打設担当からスタートし、マンション、幼稚園、学校、病院、倉庫を建設しました。この現場では、足場・仮設と外装・外構を担当しています。一番難しかったのは仮設工事です。仮設は残るものではありませんが、足場の設置の仕方が作業効率を左右します。大規模で物量の多い建物なので、工程の攻め方を面ごと工種ごとに捉え、毎日足場を歩いて使用状況を確認しました。また、屋根を葺くために開発した2段式整形架台は、私にとって初めての仮設だったので、とても勉強になりました。外構では、建物建設のために掘削した土で築山を造るなど、掘削土の有効活用を考えました。植栽は高木250本を1週間で植えて、豊かな緑と形状の面白さでゆとりを演出する計画です。ある程度仕事を任せてもらい、自分で工程表を作成し実行して、計画どおりに施工できたことに達成感を感じています。

西淀川作業所
工事課長

古川哲也

1993年入社 三重県出身

私は土木担当で、シールドトンネル工事、開削地下工事、地下鉄工事、造成工事などを経験しましたが、建築現場での土木はこの現場が初めてです。ここでは、地中梁などの土工事と外構工事を担当。掘削土約1万1000m3は、築山を造成して立体的で変化のある植栽を造るほか、駐車場にも活用。植栽の土には土壌改良剤を混ぜてそれぞれの樹木に適した土壌を作り、舗装や路盤の土にはコンクリート系の改良材を混ぜて改良し、プロロジス様から指定された強度を確保しています。また、床のコンクリート打設も担当し、床のたわみをなくすためにレベル測定器を4台使用し、専属の作業員を常に配置して、高精度を確保しました。建築工事は土木工事に比べて工種が多く、400人~500人の作業員が1つの現場で作業していることに驚きました。土木の地下工事では竣工後は見えなくなることがありますが、この現場は竣工後の姿を見ることができるので楽しみです。

西淀川作業所
工事課長

藤井一秀

1993年入社 大阪府出身

入社以来関西支店で、マンション、店舗・事務所ビル、ホテル、税関、消防庁舎などを建設し、この現場には2011年8月、鉄骨建て方が始まるときに赴任しました。現在は上り・下りランプウェイを担当。ランプウェイは当初の計画ではRC造でしたが、構造設計の段階で柱SRC造・梁S造に変更。複雑な構造を3次元で把握し、中心からの距離と角度を見て柱の位置を決め、鉄骨建方の精度を管理しています。施工にPCを活用して作業効率を向上させ、工期短縮、品質管理、安全性を確保しました。ランプウェイは建物内部の工事用道路も兼ねているので、施工をしながら作業車両の作業動線を確保し安全に走行させることも、私の大事な仕事です。また、鉄骨建方、型枠工事、土工事を同時にスムーズに施工するために、他現場で使っていた冶具を改良して鉄骨と鉄筋をセットして揚重し、高所では設置するだけにして、省力化と安全の確保を図りました。このようにして、現場でコミュニケーションをとり協力して建物を造り上げることに、やりがいを感じています。

西淀川作業所
工事課長

吉田 真

1989年入社 佐賀県出身

これまでにマンション、ショッピングセンター、病院、防災センター、大学の講堂などを建設。倉庫の建設は、入社2年目の冷蔵倉庫の施工以来20年ぶりです。この現場ではナンバー3として、監督者のレンドリース様による週に1度の品質検査の対応と、倉庫内部の施工を担当。S造は初めてですが、14カ月というギリギリの工期を厳守し、順調に施工しています。建物全体の外装・内装の施工工程を把握し、1フロアに220本の柱をいかに効率よく建てるかが勝負でした。どうしたら効率よく施工できるか考えて、精度を確保し、ワンフロアを11日間で施工しました。建設業では1つの作業があらゆるところに波及するので、一つ一つ丁寧な施工を心がけています。また、型枠を何度も転用するという、作業員さんにとって初めての工法も採用したので、少しずつ改善して、躯体をいかに早く施工するか検討を重ねました。私は、自分が施工した建物が目に見える形でずっと残ることにやりがいを感じており、家族に「あの建物を造ったよ」と言うことも楽しみです。

西淀川作業所
副所長

濱田裕二

1989年度入社 宮崎県出身

入社以来、関西支店で物流・倉庫・老人ホーム・体育館・庁舎などの建設に従事。この現場では、短期工事であるため、いかに工期内にいい仕事を納めるかを考え、これまでの経験してきた作業効率の上がる提案等を取り入れながら、工事を進めています。また、日々工事を全般的に把握し、各工区の担当者とのコミュニケーションと調整をとりながら、皆協力して施工しています。このような大規模なプロジェクトに参画できたこと、またクラックの無い・精度の高いコンクリート床の取り組みについて、発注者・監理者・施工者一体となり施工できたことは、今後の施工に反映できるいい経験になったと思います。竣工式や引渡し時には「いい建物を造ってくれてありがとう」と言っていただき、これからもお客様のニーズにあった建物を建てて、喜んでもらいたいと思っています。

西淀川作業所

所長

江原 雅夫

コミュニケーションを大切にして施工し、重点項目をクリア

 プロロジス様の物流施設を当社が建設するのは初めてであり、14カ月で完成するために、ニーズをお聞きして迅速に対応しながらお客様はもとより、現場職員、作業員とのコミュニケーションを大切にして施工しています。
 その結果、プロロジス様の重点項目である、床コンクリートと外壁の基準をクリアし、特に床コンクリートの精度では高い評価をいただくことができました。
 この現場の職員数は20人、平均年齢37歳です。若手職員とコミュニケーションをとるために、毎日18時から「トーク30」という話し合いの場を設け、職員全員がその日の進捗状況を報告し、問題点を解決しています。
 職員には、この現場での経験を財産として、今後の仕事に活かしてほしいと願っています。

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