■本工事の経緯について
山口一哉氏:兵庫県の事業として建設する西紀ダムは、豪雨による河川の氾濫を防ぐとともに、西紀中簡易水道用水の確保と、農業用水を安定供給するという役割を持つ多目的ダムです。
平成4年度に調査を開始。平成6年度に事業に着手。平成16年度には用地買収を完了し、付替道路の工事を開始。平成23年度末より本体工事に着手し、平成26年3月の完成を目指しています。
付替道路建設中の平成22年に「できるだけダムに頼らない治水」へと政策転換されたのですが、利水や治水に対する地元からの強い要望により、平成22年9月に検証検討委員会を立ち上げダムの必要性を検討し、平成23年3月に兵庫県としてダム事業の継続は妥当と結論を出しました。平成24年8月に国土交通大臣より継続の承認を受け、公募型一般競争入札を行い、工事金額、堤体コンクリートの品質向上、周辺住民に対する騒音・振動・安全対策、自然環境への影響軽減対策の技術提案について検討し、平成24年に前田JVに発注しました。
■前田JVの仕事ぶりについて
山口氏:提案の中で最も期待したのは、周辺住民への配慮です。その1つとして、前田JVが『西紀ダム通信』を毎月1回発行し、約100戸に配布して、現場の最新情報を伝えています。またこの丹波篠山地域はシカやイノシシの被害が非常に多いところで、現場でも法面に植えた種子をシカが食べるという被害を受けています。田植えの時期はシカが苗を食べるので、ゴールデンウィーク前に、前田JVの工区内に仮の柵を建設してもらいました。これまで工事が順調に進んでいるのは、このような取り組みの成果でしょう。
現場周辺では、道路工事などの6つの施工業者が、ダム建設工事と同時に施工しています。前田JVには他社との調整役も担っていただき、順調に工事が進んでいます。
■環境への取り組みについて
伊藤真人氏:可能な限り環境を保全するため環境の専門家を招いて調査を行い、貴重種に対する保全対策を実施しています。現場内で保全区域を設定するなど環境への影響軽減に努めてもらっています。
■地元のみなさまの期待について
山口氏:地元からのご要望にお応えして建設しているダムですから、工事への関心が高く、早期完成が望まれています。
ダム事業には周辺整備も含まれているので、下流側に地元のみなさんの憩いの場になる公園を計画。地元の方々にも参加していただいて計画内容を調整しているところです。
完成イメージ図
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兵庫県丹波県民局 丹波土木事務所
公園ダム課
課長
山口 一哉氏
兵庫県丹波県民局 丹波土木事務所
公園ダム課
伊藤 真人氏
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