住田町新庁舎建設
設計・施工一括業務#1

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住田町の木材と匠の技を活かし、ワンストップサービス、環境への配慮、災害時の後方支援拠点を柱とした、木造公共施設のモデルとなる新庁舎を建設しています。

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■新庁舎建設の経緯について

 築55年を超えた役場庁舎は地震で倒壊する危険性がありながら、構造上改修が不可能と診断されました。また東日本大震災で機能を失った周辺の役場を見た町民のみなさまから庁舎新築の声が高まり、20年ほど積み立てた庁舎建設基金をもとに、庁舎建設に踏み切りました。
 新庁舎は、分散する役場機能を集約してワンストップサービスが可能となり、木質ペレットボイラーや太陽光発電の利用により環境にも配慮し、災害発生に備えた防災拠点と沿岸部側自治体の後方支援という役割も担うよう計画しました。

 

■設計・施工へのご要望として

 新庁舎は木をふんだんに使い、木造公共施設のモデルにしたいと考えました。町の人々が愛着を持ち、子孫に誇れる建物を後世に残すよう、できるだけ住田町の木材を使い、施工には地元の力を活用してほしいという条件を、企業体に提示しました。
 木造の良さは、地元の職人が定期的に塗装をしたり、内装・外装から柱や土台まで部分的に材料を取り替えたりすることで建物寿命を延ばせることです。木は植樹からおよそ60年で木材として使えるので、その森林サイクルに合わせて部材を入れ替えるなど大切に手入れをして、100年以上利用できる庁舎にしたいと考えています。
 一番のこだわりである「象徴木」は、町民から寄贈されたものです。町民みんなで磨き上げ、4本の木の向きや立てる順番まで気を配りましたから、思いのこもった交流プラザになるでしょう。
 11月には「全国木の町サミット」と銘打って、全国の林業の盛んな市町村の首長さんを招いたイベントを開催する計画です。完成した新庁舎と今後建設を予定している特別養護老人ホーム、木造仮設住宅を3点セットにして、木造の公共施設が全国に広がり、日本全体で「山を守ろう、木を使おう」という機運が高まることを願っています。

 

■前田JVの仕事ぶりについて

 町の職人と地元の建設会社、東京の前田建設のコラボレーションには、新たな可能性を感じています。地元の大工は工場生産された大きな資材を組み立てる現場を見て、大いに刺激を受けているようです。外装・内装工事が始まり、地元の大工が本領を発揮するのも楽しみです。
 前田JVには、町民と一体となった新庁舎建設への協力と、開かれた現場運営に感謝しています。地元の祭りにも参加してもらい、その活躍ぶりが地元新聞の一面を飾りました。
 地元の小学生見学会や工事進捗状況を紹介するホームページなど、新庁舎建設をきっかけにして将来の林業従事者が生まれることを期待しています。
 町民をはじめ、建物に関わったすべての人たちの思いのこもった新庁舎ですから、自慢できる建物にしたいと思います。

 

<南西側から見る写真>

 

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岩手県 住田町 
町長 多田 欣一氏

岩手県 住田町 
町長

多田 欣一氏

 

 

 

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現住田町役場

 

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着工前状況

 

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町民との象徴木研磨

 

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象徴木設置状況

 

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上棟式の様子

 

 

東日本大震災の直後にいち早く木造仮設住宅を建設したことにより、「森林・林業の町」住田町は全国から注目されました。

<町民ホール写真>
交流プラザの象徴木
町民が寄贈した4本の象徴木は、樹齢70~140年のスギの大木。2013年の「気仙スギまつり」での丸太磨きには260人が参加した。

<大会議室写真>

 

町民ホール
レンズ型木造トラス梁とラチス耐力壁で実現する大空間。災害時には建物にトラックを横付けして大きなドアから物資を搬入し、後方支援拠点の役割を担う。

<2階執務スペース写真>

 

2階執務スペース
レンズ型木造トラス梁とラチス耐力壁で、柱のない大空間を実現した。

<1階執務スペース写真>

 

 

<町長室、応接室写真>

 

<夜景 全形パノラマ写真>

 

<夜景写真>

 

<夜景 エントランス写真>

 

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