前田建設は、一般国道231号の北海道防災計画事業の対象とされる、延長11.6㎞区間のうち、既設のガマタトンネルと雄冬岬トンネルを接続する延長1555mのバイパストンネル・新雄冬岬トンネル(仮称)の新設および、既設トンネル内3か所の拡幅工事を進めている。
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トンネルの掘削は、海岸線にそそり立つ急峻な岩壁が発破の振動で変状を起こさぬよう、硬岩地山を機械掘削で掘り進めることを選択。そのために、日本でも有数の出力を誇る自由断面掘削機「RH-10J」を2つそれぞれの切羽に投入してスピーディーな掘削を実現させた。 |
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本坑の施工については、掘削後のコンクリートの吹付け面に防水シートを設置する際、当社が開発したFILM工法(背面平滑型トンネルライニング工法)を用いて施工している。 |
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雄冬岬トンネル側分岐点貫通 雄冬岬トンネル側の分岐点の貫通直後にトンネル作業員と職員での記念撮影。それぞれが主体性を持ち仕事に取組み、ようやく片方の切羽が貫通した。 |
海岸の清掃 浜益海岸の清掃なども、職員が率先して行い、地域の皆さまに対する貢献も怠らない。 |
新雄冬岬トンネル作業所 椙山 孝司 この現場は、冬になればマイナス15℃以下という厳しい自然環境に晒されます。しかも狭い作業ヤードの中で、周辺環境に配慮しながら、2か所の切羽を同時に掘り進めたり、車線規制をしながら分岐部の施工や既設トンネルの補強工事を行うなど、あらゆる条件をクリアして工事を行っています。 |
新雄冬トンネル作業所 山本 昂輝 |
私はまだ入社2年目ですので、機電課長の下で仮設備の段取りをしたり、重機トラブルの事前対処であったり、基本的な現場での機電業務をOJTとして勉強させていただいています。
実は私は土木建築科の学科出身ではなく、大学では機会工学の方を専攻していたため土木の知識には疎く、その上初めて配属されたのがこの現場でしたので最初のうちは多々戸惑いもありました。まだまだ経験も浅く、自分が何かを動かしていくという年代でもないので、自分自身で工事を推し進めているんだという気持ちにはなれませんが、少しずつではありますが経験も積んでこれましたし、協力会社の作業員さんたちにも徐々に必要とされるようになってきているという自覚があり、それが大きなやりがいになっています。
もちろん機械業界でも電気業界でもそうしたことはあるとは思いますが、その数は圧倒的に違います。結局のところ、自分が学んできたことをどう活かすかも大事ですが、座学では学び得ない多くのことがものづくりの現場にはある。そこがこの仕事の最大の醍醐味だと思います。 |
新雄冬トンネル作業所 山内 彰寬 |
入社7年目になりますが、これまではトンネルだけでなく、ダム、風力発電所、新幹線の高架橋などさまざまな土木現場で仕事をしてきました。
トンネルは大きく分けて掘削とその後の覆工工事に分けられ、私は前者の掘削の最前線で仕事をしています。トンネルを掘るにあたっては、まず設計で決められた通りに掘り進めることを基本としながらも、実際の現場では、設計の通りの断面が保てないこともあり、それを加味した上で測量し直し、改めて「どこをどう掘る」ということを決めていきます。いわば掘削前の設計図と、実際の現場状況を擦り合わせて、最も効率的で安全性の高い掘削ルートを探すことが重要な仕事となります。
またこの現場には、日本でも有数の出力を持つ自由断面掘削機「RH-10J」というマシンを2つの切羽に同時投入しており、最初の頃は私自身扱ったことのない掘削機だったため戸惑ったことも少なくありませんでした。 通常、これくらい硬い山であれば発破を使用するのが普通ですが、この現場は発破は使わず掘り進めていくことが前提条件であったため、10Jを投入しながらも、なかなか前に進まないということもありました。特に工事着工当初は切羽が2つあったため、両方の切羽がある程度足並みを揃えて掘り進めていかなくてはならず、常に進捗状況の確認を行いながら仕事を進めていくことが求められました。そうした中で救われているのは、明るい現場の雰囲気と作業員さんたちとの良好なチームワークです。 |
新雄冬岬トンネル作業所 宮内 俊彦 |
私の仕事は工事の全体的な工程管理と、のべ11社の協力会社さんの調整が主な業務となります。入社して13年目ですが、この現場のように多くの業者さんの業務調整を行うことはほとんどありませんし、私自身、監理技術者として携わるのが初めての現場になりますので働きながら学ぶ部分も少なくありません。
これだけ多種多様な業者さんが同じ現場に入ると、ちょっとした行き違いがトラブルのもとにもなり兼ねないため、そうしたことがないように目と心を配ることが大事です。とはいえ、私一人で全ての現場に目を行き届かせるわけにはいきませんので、各々で主体的に考えて工事を進めていただけるよう導くことが鍵となります。
今後の課題としては、トンネル掘削については目処がたっていますが、その周辺の細かいところの施工を、これまで通り安全に進めていくことが最も大事なポイントになると思います。また、新設トンネルの舗装や、照明、防災設備の業者さんがこれから入ってきますので、何をいつまでに仕上げていかなくてはならないのか、その順番をどのようにすれば全体的な工事が上手くいくのかということを、こまめに連携をとりながら進めていかなくてはなりません。ただしそれらの業者さんは前田の下請けとして入るわけではないため、前田の都合だけで動くわけにはいきません。
そうした方々と気持ちよく協働しながら、なおかつリーダーシップを発揮して工事を仕上げていくかが、今後の最大の課題となるでしょう。 |
新雄冬トンネル作業所 藤本 祐樹 |
機械と電気、設備関係の計画から保守管理、あとは全体的な機械の入れ替えや土木業者さんとの工程調整などまで行います。
この現場は2つの切羽があり、機械類も多く山も硬いため、特に重機のトラブル防止には細心の注意が必要です。私はこれまで、トンネルばかりでなく風力発電の風車なども手掛けてきましたがさほど大きな違いを感じることはありませんでした。
ところがこの現場の場合、他では経験したことのないような特殊な機械や大型機械が多いため、機電の責任者としては今まで以上に神経を使っています。重機がトラブルを起こせば、そこで工事も中断しなくてはならなくなります。したがって、トラブルを起こす前に機械の不具合を察知して、リスクを最小限に抑えることが我々機電担当の最も重要な仕事になります。
もちろん毎日1つ1つの機械をチェックして回ることはできませんので、重機のオペレーターとコミュニケーションを密にして状態を把握することが大切です。つまり、日頃からどれだけコミュニケーションが取れているかが自分たちの仕事をスムーズにすることにもなりますし、結果それが工事全体の進捗にも影響します。そうした意味ではこの現場は、雰囲気が明るくて、作業員さん同士も気軽に話し合える雰囲気があるので、現場の人たちが「ちょっとおかしいな?」と感じたら、トラブルを起こす前に情報がどんどん入ってくるため、重機が原因で現場を止めてしまうようなこともなくここまでは順調に進捗しています。 |
新雄冬トンネル作業所 岩本 泰 |
現場の工程管理、品質管理、出来高管理をトータル的に見ています。この現場は通常のトンネルと違って外回りの工事が多いため、工事の進捗状況次第では昼勤、夜勤を問わず現場に立つこともあります。特にこの現場ではプロテクターを設置して一般車両の通行を確保しながら工事を行わなくてはなりません。私自身入社14年目になり、ほとんどの現場がトンネル工事ですが、通常の山岳トンネルとはまったく違った手続きで工事を進めていかなくてはならない難しい現場です。
現場では、協力会社さんと一緒になって作業を進めるわけですが、建築と違って複数の業者さんが長い期間同じ場所で作業をしますので、それぞれの作業員さんの個性を掴みつつ、みんなが同じベクトルで1つのものを創りあげるよう導いていくことが肝心です。もちろん技術も大事ですが、これだけ大掛かりなトンネル工事になると、やはり人と人の連携が何より大事なことになってきます。そのためにはまず、私が作業員さんを信頼しなくてはなりませんし、また作業員さんたちからも私が信頼に値する人間でなくてはならないと思っています。工事課長という立場上、必然的に現場を管理し目を配る役回りとなりますが、それはあくまでも名目上の役職であって、私の仕事を正しく説明するなら作業員さんたちのパイプ役ということになるでしょう。これは私の自負になりますが、チームワークの良さが安全につながるわけで、この現場は非常にチームワークの良い現場であるということがいえると思います。 |