東京都芝浦水再生センター・
森ヶ崎水再生センター間
連絡管建設工事#1

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芝浦と森ケ崎、2つの水再生センターを結ぶ下水道連絡管工事。深さ70m超、外径19mという、都心部では前例のないシールドマシン発進立坑の大規模建設工事が進んでいます。

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■水再生センターの老朽化対策

 東京都の水再生センターは区部で13カ所あり、これらの施設は近年老朽化が進んできています。中でも芝浦水再生センターは都内でも3番目に古い施設で、再構築に向けた検討が以前よりおこなわれてきました。
 こうした背景のもと、日本下水道事業団は、東京都から本事業を受託し工事を発注。平成25年度から始まり平成30年代中頃までの大規模な下水道整備事業となる予定です。
 本事業の目的は、芝浦水再生センターの再構築時に不足する水処理能力を森ケ崎水再生センターで補完し、また地震時等の災害時における水処理・汚泥処理のバックアップ機能を保持するというもの。芝浦水再生センターから南方約8㎞に位置する森ヶ崎水再生センターを結ぶ下水道の連絡管を構築します。
 これまでに都の下水道関連連絡管事業は、多摩地区の下水道で3件ありますが、区部では始めての事業です。本工事地盤は部分的に可燃性のメタンガスを含有する地盤もあるため、連絡管掘削時には防曝型機器採用などの配慮が求められます。

 

■都心部に日本最深級の立坑を

 今回前田JVに発注したのは連絡管立坑工事です。技術提案項目は、沈下掘削の施工、鉄筋コンクリートの品質管理、周辺環境への配慮の3項目で、前田JVの提案は全て満点評価を獲得。入札価格点を加えた総合評価で前田JVと契約することになりました。この立坑は、掘削深度が71.8mという都心部のケーソン工事としては日本最深級のもの。このため、安全施工を目的とし、施工計画や安全管理のを検討する「芝浦・森ヶ崎連絡管工事施工検討会」を立ち上げました。
 この施工検討会は、東京都、日本下水道事業団、コンサルタント、 工事受注者で構成され、前田JVにも参加してもらいました。71.8mもの大深度となったのは、地下河川や地下鉄、中央環状線などの地下構造物をクリアするためです。おそらく今後は同じような条件下で下水道関連連絡管事業が都心で行われることが予想され、今回の工事はその試金石とも言えます。
 東京都にとっても非常に大事な事業であるだけに、施工現場の見学依頼も非常に多く、注目度の高さも感じられます。

 

■前田JVの仕事ぶりについて

 前田JVには、この事業の重要性をよく理解したうえで、工夫を重ねて品質向上に努め工事に取り組んでもらっています。また作業場全体がきっちりと統制管理されている様子が随所で見られます。既にケーソンの沈下掘削は、地下40.4mまで進んでいます。今後は固い泥岩の掘削が続き、掘削位置が深くなることに伴い高圧気での作業となります。
 今後、前田JVの厳しい安全基準・安全管理にしたがい無事故・無災害で立坑を無事完成していただきたいと思っています。

地方共同法人  日本下水道事業団 
関東・北陸総合事務所 
施工管理課 主幹
菅井 雅之氏

地方共同法人 日本下水道事業団
関東・北陸総合事務所 施工管理課

菅井 雅之氏

 

 

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前田建設工業株式会社
常務執行役員 土木事業本部長

足立 宏美氏

この現場は、都心部でも今後増加が予想されている大深度立坑の構築工事です。いかに優れた技術が開発されても、それを立証するのは現場です。その意味でも、71.8mという都心部では初となる大深度立坑を安全に完成させることには大きな意味があり、その現場力は他の工事でも活かされ、顕在化した課題もさらに改善され良いものとなるはずです。

 

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