東京都芝浦水再生センター・
森ヶ崎水再生センター間
連絡管建設工事#2

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遠隔操作掘削とNOMSTの採用で合理化を実現

 前田JVは、芝浦水再生センターと森ケ崎水再生センターを結ぶ地下連絡管建設工事に先立ち、大深度71.8m(外径19m・内径15m)に及ぶ都内最大級の立坑構築工事を進めています。
 立坑は約8㎞の全体ルートからみて、森ケ崎水再生センターから約2.3㎞、芝浦水再生センターから約5.6㎞の地点に位置しており、2013年9月に着工して2015年11月に竣工予定。現在、全15ロット(1ロット:4.5m~5m)工程のうち第9ロットの40.4mの深さまで躯体の構築が完了しています。40.4m地点の抗内気圧は0.308。これは水深30mと同じ圧力に相当するため、作業員の健康状態に配慮して現在は遠隔操作で無人掘削を行い合理化を図っています。また、立坑完成後にシールドマシンが発進する第2ロット、第3ロット部分に「NOMST」を採用。鉄筋と同じ強度を保ちながらシールドのカッタービットで直接切削ができるため、地盤改良や人力による壁の撤去を不要とし、地下水の侵入を防ぎ工期短縮を実現します。

 

 

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ニューマチックケーソン工法

ケーソン躯体(コンクリートの函)の下部に気密作業室を設け、そこに圧縮空気を送り込むことで周辺部の地下水の浸入を防ぎ、気密作業室での掘削(有人・無人)によりケーソン躯体を沈み込ませて立坑を施工する工法。

 

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ケーソン刃口金物と土砂セントル

ケーソン躯体の第1ロットは周囲に掘削する刃口金物構造があり、より強固な躯体を要する気密鉄筋構造になっています。また、第1ロットは重量を全面積で支持出来る土砂セントルを用いました。

 

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都心部初の大深度ニューマチックケーソン工事に挑む

 立坑掘削には橋梁の基礎工事で用いられる「ニューマチックケーソン工法」を採用していますが、都心部で行う大深度工事の前例が少なく、慎重を期して工事が開始されました。
 大深度掘削は気圧との戦いでもあり、本立坑では6ロット目の地下20m地点で有人掘削から遠隔操作の無人掘削に切り替えました。地下20mでかかる気圧は厚生労働省が定める作業気圧の基準には達していませんが、作業員の安全を第一に考えた判断です。
 品質管理においては、地上からの遠隔操作による無人載荷試験を実施。躯体の傾斜や沈設精度を計測機器で管理しています。
 初期地盤では土質も柔らかく有人掘削では1日に50㎝ほど掘削可能でしたが、下層部では徐々に堅い地盤となり、気圧も高く、より掘削が困難になります。現在は、夕方5時から翌朝の8時まで2交代制での掘削作業で1日あたりの進捗は30㎝ほど。これから施工の山場を迎えます。

 

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大型鋼製コンクリート型枠

通常は木製の型枠が一般的ですが、木製の場合は軽い反面、転用回数に限りがあります。また、1ロット5m、外周60mという大型の円形立坑であるため、型枠の製作に時間がかかることから、材質を鋼製として、天地5m、幅4mという大型化を図り、効率化と安全性の向上を実現させています。

 

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遠隔操作による無人掘削状況

地上からモニターを見ながらケーソンショベルを遠隔操作します。操作するのは皆有人掘削の経験者で、熟練の技術力が求められます。

 

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いたるところに前田の独自技術と工夫を活かす

 立坑の最下部にあたる第1ロットから第5ロット部分の土圧と水圧が高いため鉄筋量が多く、この現場では前田が開発した「TPナット鉄筋」を採用しました。
 これは鉄筋端部にネジ加工を施したナット状定着具で、強固な定着を確保するもので、いままでのフック式より配筋が簡素化され、鉄筋の組立効率を改善します。またコンクリートの打設時にも鉄筋同士の小さな隙間からでもしっかりと充填できるため高品質な躯体の構築をおこなえます。
 さらに、コンクリート打設には、ICタグを利用してプラントからのコンクリート出荷時情報や現場での打設時間管理などの情報の見える化を実現する「トレーサビリティシステム」を導入し、品質管理を行っています。
 立坑の型枠には鋼製の大型型枠を採用し外周と内周各々15枚の大型型枠を全工程で転用しています。これにより型枠工事の効率化を実現し作業員の安全性も向上しています。

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TPナット鉄筋

鉄筋コンクリートの構造物のせん断補強鉄筋及び中間帯鉄筋などを対象に、従来のフックの代替として鉄筋端部にネジ加工を施し定着する鉄筋です。土木学会のコンクリート標準方書に示される標準フックと同等の定着性能を持ち、フーチング等のひび割れを起こさない鉄筋として認められています。

 

 

「現場を創る」精神を。

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JS大井作業所 監理技術者

山門 隆雄


 立坑掘削には橋梁の基礎工事で用いられる「ニューマチックケーソン工法」を採用していますが、都心部で行う大深度工事の前例が少なく、慎重を期して工事が開始されました。
 大深度掘削は気圧との戦いでもあり、本立坑では6ロット目の地下20m地点で有人掘削から遠隔操作の無人掘削に切り替えました。地下20mでかかる気圧は厚生労働省が定める作業気圧の基準には達していませんが、作業員の安全を第一に考えた判断です。
 品質管理においては、地上からの遠隔操作による無人載荷試験を実施。躯体の傾斜や沈設精度を計測機器で管理しています。
 初期地盤では土質も柔らかく有人掘削では1日に50㎝ほど掘削可能でしたが、下層部では徐々に堅い地盤となり、気圧も高く、より掘削が困難になります。現在は、夕方5時から翌朝の8時まで2交代制での掘削作業で1日あたりの進捗は30㎝ほど。これから施工の山場を迎えます。
 立坑の最下部にあたる第1ロットから第5ロット部分の土圧と水圧が高いため鉄筋量が多く、この現場では前田が開発した「TPナット鉄筋」を採用しました。 これは鉄筋端部にネジ加工を施したナット状定着具で、強固な定着を確保するもので、いままでのフック式より配筋が簡素化され、鉄筋の組立効率を改善します。またコンクリートの打設時にも鉄筋同士の小さな隙間からでもしっかりと充填できるため高品質な躯体の構築をおこなえます。
 さらに、コンクリート打設には、ICタグを利用してプラントからのコンクリート出荷時情報や現場での打設時間管理などの情報の見える化を実現する「トレーサビリティシステム」を導入し、品質管理を行っています。
 立坑の型枠には鋼製の大型型枠を採用し外周と内周各々15枚の大型型枠を全工程で転用しています。これにより型枠工事の効率化を実現し作業員の安全性も向上しています。
 今回の工事は前田JVが立坑を構築して終わりではなく、その後のシールド工事にいかに効率よく?げていけるかが非常に重要なポイントとなります。
 そのためには、傾斜を抑えたより高品質な立坑構築が前提となり、前田建設の技術の真価が問われていると認識しています。

 

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JS大井作業所 所 長

北村 昌文


 大前提として、より効率的、かつ安全な工事遂行があります。ただ大事なのはそこから先です。
 工事が完成すれば、都民の方々が安心して暮らせるようになる。そうしたインフラ整備を担う誇りを作業員の皆さんと共有したいと思います。また、前田の開発技術を現場で使えるよう調整するのも所長の役割です。優れた技術でも現場で使わなければ意味がありません。技術を伝えると共に、こうしたことも若い人たちに伝えていきたいと考えています。

 

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安全教育勉強会

各工種の職長が集まり、作業時の危険事例を挙げて注意を促し、作業員の安全確保に務めています。

 

環境への取り組み

職員、作業員が率先して現場周辺の清掃を実施しています。また現場に出入りするダンプにはCO2削減を目標として、アイドリングストップ装置を設置しています。

 

 

小林 慎之介

JS大井作業所
土木係 主任

小林 慎之介

学生時代は土木工学科でセメントを混ぜた地盤の強度発現の研究を行っていました。土木を専攻した理由は、私たちの暮らしの中に無くてはならない道路や鉄道など社会インフラを造りたいという思いがあったからです。そんな思いを持って就職活動に臨み、大学のOBから前田建設は上司と部下の距離が近い「風通しの良い会社である」と聞いたことが入社の決め手でした。

 

これまでに経験した現場は、前田建設の特許であるプリズム工法を用いた橋脚の耐震補強工事、送電線の鉄塔の耐震補強工事、オープンシールド工法を用いた排水路の整備、ダムのクラウチング、高速道路の外環道工事、そして今回の立坑工事と、当初希望していた通り人が暮らす上で無くてはならないもの造りの現場に携わってきました。
この現場で私の役割は、全体の工程管理とコンクリートを造る業者さんの調整などをメインに担当しています。今回の工事では去年の3月から月に1回ペースでコンクリートを打設していますが、コンクリートの出来が悪いと、ケーソンを落として行く過程に悪影響が出てしまうため、暑さ寒さの季節を違わず品質を保つことが大事になります。コンクリートの型枠を外した時にきれいに仕上がっていれば本当に嬉しく思います。その一方、思い通りの仕事が出来なかった時でも、その理由を検証して1つの答えを導き出せた時は大きな手応えを感じることが出来る。それが仕事のやりがいにつながっています。

 

前田建設の特徴は、自分の意見を持った人が多いことです。したがってこれから前田建設を志望する方も、主体的に仕事に取組み、自分の言葉で思いを語れる人であって欲しいと思います。私自身の将来象は、下の人たちから何でも相談されるような所長になることです。下の人たちの意見もよく聞いて「ああ、小林さんなら安心できるな」という雰囲気の現場づくりができる所長になること。それが私の目標です。

 

 

山本 惣一郎

JS大井作業所
土木係

山本 惣一郎

2014年入社の1年目です。学生時代は土木工学科でコンクリートを研究していました。就活の時にリクルーターの方とお話しさせていただき感じたのは「熱い会社」だということ。お話を聞いていて私の方も燃えました(笑)。研究時期は同期の人との接点が多かったわけですが、自分と同じような考えを持った人ばかりで、飲み会などでも最後は必ず仕事の話になるんです。それが本当に楽しいと思いました。

 

研修後、初めて配属されたのがこの現場です。私の役割は、現場で起こる問題に対処して工事がスムーズに進むように調整することです。私が1年生ということは職人の方々も分かっていて、何かをお願い事をするにしても二つ返事で受け入れてくれることばかりではなくまだまだ自分の思い通りに仕事を進めることは出来ません。そのあたりは自分の経験不足と力不足、あと、人を動かすだけの言葉を持っていないからだと思っています。でも「初めての現場だから仕方ない」ではなく、どうすれば上手く仕事を進めることができるかを先輩たちのアドバイスも受けながら常に考えています。どんな時でも先輩方はしっかり耳を傾けてくれるので今は仕事に対する面白さがどんどん大きくなってきていますし、日に日に力がついているのが分かります。

 

どんな問題にも逃げずに一緒に考えられる人。そんな人が前田建設に向いていると思います。分からないなら分からないなりに先輩から話を聞いたり、自分で調べてみたりしながら何とか自分の力で解決しようとする気概がある人。そんな人と一緒に仕事がしたいと思います。自分自身の遠い将来のことはまだ考えられません。まずは初めて配属されたこの現場で仕事をやり遂げ、多くの知識を蓄えて人から信頼される自分になりたいと思います。この現場が終わった頃は、自分の意見を強く言えるようになっていると思いますし、人の意見も聞けるようにもなっているんじゃないかなと。そんな自分に期待しています。

 

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