浜松篠原海岸津波対策施設等
整備事業(海岸)工事
(総合管理及びCSG製造工)#2

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CSG混合設備(M-Y ミキサ)

地元施工を前提にCSG製造とマネジメントを担う

 現在前田JVでは、浜名湖から天竜川河口までの17.5㎞にわたるCSGを用いた防潮堤の整備に参画しています。2年前に試験施工を行い、本体施工は地元の企業で行えるようダム技術センターの指導のもと品質保持と施工時におけるマニュアルを作成。これに基づき、CSGの製造の他、CM(コンストラクション・マネジメント)業務として、地元企業に対する施工指導、品質管理、工程管理までを手がけています。
 防潮堤工事は、浜松市天竜区の阿蔵山で採取した岩石質の土を運び、現地の砂とセメントを混ぜてCSGを製造。施工時には、最初に盛土を30㎝上げて型枠代わりとし、その中心部にCSGを敷きならして振動ローラーで締固め、覆土を行います。
 これらの手順を繰り返し、現在は篠原工区(5㎞・全4工区)の第1工区・第2工区が整備を終了しています。
 また、既に次工区(舞阪工区/約5㎞)の受注も確定していますが、施工指導・工程管理については篠原工区で経験を積んだ地元企業に一任。舞阪工区において前田JVは、CM業務を外れCSGの製造および供給のみとなります。

「M-Y ミキサ」の混合状況イメージ

「M-Y ミキサ」の混合状況イメージ

重力利用型連続式混合器
「M-Y ミキサ」の混合原理

CSG製造プラントにおいて使用する混合装置「M-Yミ キサ」は、種々の材料を上から下に落とすだけで連続的かつ均質的に混合でき、なおかつ動力を必要としない環境にやさしい混合装置です。CSG材、セメント、水の異なる材料が、各ユニットを通過する毎に「分割」と「重ね」の2つの作用により均質に混合することが可能です。

試験施工

試験施工

防潮堤のコアとなるCSGの配合や砂浜付近での基礎工事を確認するとともに、市民の方々に沿岸域に防潮堤が構築されたときのイメージを共有、確認していただけるよう2013年に試験施工を実施しました。

 

M-Yミキサ設備

M-Yミキサ設備

CSGを製造する過程では、各種材料の混合設備において前田の技術が最大限に発揮され、高品質のCSG製造を可能にしています。

 

CSG母材山

CSG母材山

防潮堤で使用するCSGは浜松市天竜区阿蔵山で掘削した土砂を、浜北区中瀬の中継点にて最大80㎜に破砕したものを材料として使用しています。

 

CSG製造プラント全景

均質かつ大量のCSGを高速製造M-Yミキサの実力

 CSGは、約5㎞に及ぶ篠原工区の中間点に建設されたCSG製造プラントで製造、ここから全工区に供給しています。このプラントは、土砂やセメントの投入・計量供給装置、それらを繋ぎ材料を計量・運搬するフィーダおよびベルトスケール、そして高速かつ大量に均質なCSGを製造するため、前田建設が開発した連続混合設備「M-Yミキサ」などを、整備の進捗状況が異なる工区ごとに4基設置しています。
 その製造能力は1日最大2,800m³、時間あたり最大480m³の供給が可能。現在稼働している日本最大級のCSG製造プラントです。
 CSGの強度は配合するセメント量に比例しますが、十分な強度を担保しながらも高いコストパフォーマンスを発揮できるよう、最も荷重がかかる着座部のセメント配合量をCSG1m³あたり100㎏とし、中段では60㎏、最上段に至ってはわずか40㎏と比率を変えることで効率化を図りました。1m³あたりの単位セメント量40㎏というのは従来のCSG施工では前例がなく、土砂とセメントを混和する「M-Yミキサ」の性能信頼度はもとより、前田JVの厳しい品質管理が求められます。

運行管理システム

運行管理システム

CSG出荷時と荷卸し時にダンプ運転手がICカードをタッチすることで、出荷日時、CSG配合出荷プラント、積込車輌ナンバー、積込重量、荷卸し時刻などが自動でデータベース化されサーバー上にアップ。最新出荷状況をどこでも確認でき円滑な施工をサポートします。

 

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CSG製造プラント上空から篠原3~4工区を望む

防潮堤の信頼性はここで決まるCSG試験室

 CSGの品質管理手法は材料のばらつきを考慮して必要なCSGの強度を確保する「ひし形理論」で適切に施工が行えるように、試験室を設けてサンプリングによってCSG材と出荷時のCSGの品質管理を行っています。品質管理内容は、CSG製造当日に使用する阿蔵山から運ばれてきた岩石質の材料や現地の砂の密度、それらに含まれる水分量を計測する他、CSG材料の粒の大きさの傾向である粒度を計り、材料の物理的な性質の分析や確認を行います。この試験は、同じ阿蔵山から採れた土でもその日の天気や気温などによって粒度や水分量が異なり、CSG製造時の給水量も変わるため、各試験は毎日1時間おきに行われます。
 水分量や粒度のばらつきの計測は手間のかかる作業ですが、現場近傍で容易に採取できる岩石質材料のばらつきを監視しながら均一なCSG材を製造するというCSG工法の品質管理を行う上では欠かすことのできない工程です。このような従来型のCSG材品質管理試験と並行して、前田建設独自のデジタル画像処理による粒度分析技術の開発を進め、次工区(舞阪工区)で導入を予定しており、品質管理においてもより一層のきめ細やかさと高度化を図っています。
 また、製造されたCSGが要求品質を満足しているかの確認として円柱状の品質管理用供試体をつくり、7日後と28日後に圧縮強度を計測し、品質の均一化を担保します。これらの試験は防潮堤の品質に直接関わる基礎となるため、地元企業ではなく前田のCSG製造工事で一括して行われています

品質検査

品質検査

試験室では使用する土砂が所定の粒度範囲内であることを確認し、含まれる水分量の管理を毎日1時間おきに実施。CSG供試体サンプルを製造して強度の確認を行います。

 

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ベルトスケール

ベルトスケール

均質なCSGを製造するためには土砂やセメントの定量管理が欠かせません。原材料はベルトコンベアによる輸送状態で計量。数値はベルトテンションの変動により検出され中央制御室でリアルタイムに確認されます。

 

「オール浜松」の一員として

中島 具威

 CSG製造プラントの安全稼働。それが我々の使命です。もしプラントで事故が起きたら全工区の地元企業の施工、ダンプトラックの運搬作業が停止します。したがってCSGの品質管理はもとより、現場の安全管理にも細心の注意が必要です。またこの現場では、ダム工事総括管理技術者の資格を持った複数職員をCSG製造で配置。これまでダム建設で培った経験を存分に活かして、安全管理、品質管理、工程管理に務めると共に、前田建設も「オール浜松」の一員であるという意識を持って、防潮堤の完成に結び付けたいと思っています。

浜松防潮堤CSG製造・CM作業所
現場代理人 所長
中島 具威

 

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清掃活動

防潮堤の後背地へと続く倉松出入り口付近では、地域の皆さまにご迷惑をおかけしないよう清掃活動を行っています。

 

見学会

安心できる街づくりを目指す浜松市では、地元理解の一貫として防潮堤見学会を積極的に行っています。

 

 

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