新名神高速道路切畑トンネル工事#1

TOP Report#1 Report#2 Construction REPORT 54

目指すのは西日本の交通渋滞緩和とネットワーク機能向上。新名神高速道路の開通に向け、猪名川市~宝塚市間で、トンネル、サービスエリア、下部工の施工が進んでいます。

<写真>

■山間の難所を前田に託す

 新名神高速道路は、並行して走る名神高速道路と中国自動車道の慢性的な交通渋滞を緩和して、ネットワーク機能の向上を目的に2009年10月に着工しました。
 この工事で前田さんに施工をお願いしているのが、新名神兵庫事務所が管轄する約20㎞区間のうち、猪名川~宝塚間、工事総延長約4㎞にわたる、切畑トンネル工事、宝塚サービスエリアの造成、橋梁下部工工事です。このエリアは山間の難所で、県道の幅員はわずか3mほど。その両側には山がそびえ立つ極めて過酷な現場環境でした。

 

■新手法や新技術の採用効果

サービスエリアでは、私どもの会社では前例がない高さ70mの盛土をつくるために大量の土を必要とします。ところが当初はダンプが走れる道がなかった。そこで前田さんからご提案いただいたのが、ベルトコンベアを設置して土を運ぶという斬新な手法でした。
 新しい手法や技術は、トンネル工事にも数多く採用されています。その代表例が、フライアッシュを混和させて堅牢性を高めた中流動覆工コンクリートの使用です。高品質で丈夫なコンクリートを打てば将来的な維持管理のコストが変わります。それはトンネルばかりでなく道路建設でも同様で、フライアッシュを使ったコンクリートの信頼性は高く、NEXCO西日本では標準化されました。
 ここ10年ほど「老朽化」という言葉をよく聞きますが、トンネルや道路、橋梁といった公共インフラは初期建設以外にも、その修繕や保守点検に莫大な費用がかかります。それを考えるならば、初期投資には若干コストが嵩んでも、高品質かつ堅牢性の高いものをつくって長寿命化を図った方が、長期的に考えれば大幅なコストダウンにつながることは間違いありません。

※フライアッシュ(fly ash): 火力発電所等で微粉炭を燃焼する際に副産される灰 

 

■信頼できる機動力と発想力

 前田さんと仕事をしてつくづく感心したのは機動力の良さと発想力の豊かさです。それはベルトコンベアをつくる時から感じていました。ベルトコンベアの設置工事は、日中の作業や余所の工事に影響を与えないよう夜間行われましたが、40人から50人もの作業員がいました。東北での震災以降は、ダンプと人手不足が大きな問題になっており、私たちも大きな懸念を抱えていました。そうした状況下で、苦労されながらも人手を確保してくださった前田さんの機動力には本当に感心しました。
 さらに発想力といったことでは、ベルトコンベアでの土運搬はもとより、何か問題が起これば、必ず的を得たアイディアを提案してくださり、いつも感心させられます。もちろんそれを実施するには、それなりにコストはかかりますが(笑)、机上の空論ではなく、そこには「こうすれば問題をクリアできる」という経験に裏付けられた確信がある。とても頼もしいパートナーです。
 工事はこの先も2017年の6月まで続きますが、安全と品質を最優先していただき、無事故、無災害を堅守され、工事をリードしてくださることを望みます。

山口 卓位氏

西日本高速道路株式会社
関西支社
新名神兵庫事務所
宝塚工事長

山口 卓位氏

 

<写真>
<写真>

 

 

工事全容

切畑トンネル工事図面

拡大図を見る

 

<写真>

 

▼次のページへ