碑文谷ショッピングセンター
耐震補強工事・リノベーション工事#2

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工期は5ヵ月都内有数の大規模改修に挑む

 リノベーション現場は、旧ダイエー碑文谷店。敷地面積約4,600㎡、建築面積約3,200㎡、延床面積約26,000㎡という都内でも有数の大型商業施設。この建物のほとんどを改修・更新させ、新しく生まれ変わらせることが工事の目的です。
 前田建設では、建物自体の構造部分の耐震改修と外装・施設インフラの改修(ジャパン・リート・アドバイザーズ様主体のA工事)の他、各テナントの店舗工事(イオン様発注のB・C工事)までを請け負っています。当初、各テナント工事は当社の工事範囲ではありませんでしたが、わずか5ヵ月間という短工期で請け負える業者が当社しかいないこと、プロジェクト全体のことを考えれば、当社が一気通貫で施工することがベストであるという理由から、イオン様からの別発注を受け、9月の中旬より各テナント工事も並行して施工しています。
 改修工事の着手は2016年6月1日。12月16日までには構造部分と外装部分の本工事と、1階から4階までの店舗工事を完了させてひとまずオープンを迎えます。引き続き、5階から7階まではテナント工事を続け3月の完全竣工を目指します。主だった工事内容は、外装・内装を一新する他、耐震補強をはじめ、老朽化していた消防・空調設備の更新、中央監視室や火災報知機のシステムの入れ替え、給排水・受変電設備の更新、さらには昇降機の交換から屋上の防水改修に至るフル・リノベーション。「50年間は使い続けられる商業施設」という要望に応えるべく工事を進めています。

屋上設備更新

屋上設備更新

屋上はオーバーレイで防水をやり直しています。また施設の空調システムの変更に伴い基礎を打ち直し空調機自体も新しいものへと更新しました。

カーテンウォール ガラス取付状況

カーテンウォール
ガラス取付状況

前田建設の提案により外装全面のカーテンウォールを更新。ガラスカーテンウォールを上部まで延長することで爽快感を演出しました。

 

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大胆な外装計画で新築さながらに建物を一新する

 改修の大きなポイントとなったのは外観のデザイン。建物の正面となる目黒通り沿いの外装はガラスカーテンウォールで一新して、シースルーエレベーターの交換を行うことで従来のイメージを払拭しました。
 カーテンウォールについては、もともとは老朽化による漏水対策として部分的な改修を予定していましたが「碑文谷の新しいランドマークとなるデザインを」というコンセプトのもと、全面をガラスカーテンウォールで組み上げて新築さながらの外観に仕上げています。
 また、施設の堅牢性を保つための耐震補強工事については、2000年に別業者にて耐震補強工事が行われていましたが、前田建設で再度検証し、スラブに入っていたクラックなども含めて改修しました。

既存鉄骨ブレース補強

既存鉄骨ブレース補強

耐震補強は既存躯体の接続部耐力とブレース交差部の耐力を再度計算し直し、既存の耐震補強を活かしながら2か月間かけてコンクリートを80か所打ち補強しました。

 

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経験に基づいた臨機応変な判断で不可能を可能に

 リノベーション工事は新築工事とはまた違った難しさがあると、碑文谷RN作業所の福田健人総合所長は言います。新築は詳細な設計図がありますが、リノベーションの場合は大まかなプランしか描けません。また実際に現場を見るとプラン通りにいかないところが顕在化して、変更を強いられることがしばしばあります。
 さらに施工準備の期間がリノベーション工事にはありません。新築の場合は基礎や杭工事などの単工種施工中に今後の施工段取りを考える時間がありますが、リノベーションは即工事に入らなければなりません。
 加えて、9月中旬から工事をスタートしたテナント工事を手がけることによって本体工事も影響を受けました。
 こうした状況下にあっても、竣工前の検査は11月の末。常識的に考えれば不可能です。それを可能にしたのは経験に基づいた臨機応変な判断あってのこと。 
 本来は、ある程度の範囲は1つの業者に任せるところを、今回は地下1階から7階まで、2フロアごとに異なる業者を投入して同時施工しました。
 この判断が功を奏し12月16日のオープンが現実味を帯びたと言います。

AEON STYLE

店舗完成イメージ

AEON STYLE
店舗完成イメージ

 

碑文谷RN作業所 副所長 成川 俊実

碑文谷RN作業所 副所長
成川 俊実

テナント工事には「イオンスタイル仕様」が色濃く出ています。
下がり壁1つとっても見た目は何の変哲のないものですが、実は人がぶら下がっても壊れないほどの強度があります。将来的にここに装飾を施して重量が加算されても耐え得るものをという理由からです。また、見えない下地についても強度を求められました。それは、安全な施設づくりを最優先事項とイオン様が考えていることの証しだと思います。

碑文谷RN作業所 建築係 河口 祐輔

碑文谷RN作業所 建築係
河口 祐輔

入社2年目です。リノベーション工事は、あるものを壊して、そこからどう新しいものをつくり上げていくのかという見当のつかない難しさがありました。今回の現場では、新築の基本的なことが頭に入っていないとリノベーション工事は対応できないということを実感しました。まずは基本をがっちり身につけることが大事だと思います。

 

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花いっぱい活動

殺風景になりがちな施工現場の片隅に、小さな花壇を設けることで近隣住民の方々も心和む取り組みです。工事に携わる各業者さんの賛同と協賛により、このプロジェクトが実現しました。

 

職員へのメッセージボード

施設入口には職員の家族から寄せられたメッセージボードを設置しました。働くお父さんが、安全に良い仕事ができるようにと祈りを込めた言葉の数々。こんなところも「前田らしさ」の一端です。

 

 

若手が改修を学ぶ場として

福田 健人

碑文谷RN作業所
総合所長

福田 健人

 今回の工事では、当社中部支店から入社2年目と6年目の若手職員を呼び寄せて初めてのリノベーション工事を経験させています。
 与えられたプランをその通りに実行するのではなく「現場を見て判断する」という経験は、最新技術を使った現場を経験するのと同じくらいの意味があるはずです。これからはリノベーション物件が増えていく時代。2人の若い職員も、リノベーション工事に携わる時は必ず力を発揮してくれると思っています。
 12月16日にひとまずオープンはするものの、肝心なのはそこから先です。5階から7階までのテナント工事は、営業しながらの施工となるため、お客様最優先、テナントさんと工事資材の搬入調整など、さまざまな課題があります。3月まではさらに厳しい工事となると思われますが、統括管理としては、そうした部分にも細かく目を行き届かせて、事故なく3月まで粛々と工事を続けたいと思っています。

(2017年3月追記)
また、社内外関係各社の皆様のご理解・ご協力のおかげで無事竣工することができました。
この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。

 

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