平成26年度債務負担行為工事
ダム整備事業
最上小国川流水型ダム堤体工事#1
■環境に配慮したダム建設
山形県では、予てより洪水による浸水被害が発生してきた最上町赤倉地区および沿川住民の人命と財産を守るべく、洪水調節のみを目的とした『最上小国川流水型ダム』の建設事業を進めています。 ダムの建設にあたっては、建設地および地域の動植物の環境保全を図ることが大変重要なことから、学識経験者・漁協・地域代表者による「流域環境保全協議会」を設置し、猛禽類・魚介類・底生動物・植物などへの影響や配慮事項について審議していただいています。 また、最上小国川は、鮎が生息する清流域であり、その生態系への影響を少なくするにはどうしたらよいかを時間をかけて検討を重ね、漁協や地域の方々にご理解をいただきながら、流水型ダムという方向性で事業に着手しました。
■安全を可視化する前田の技術
ダムに対する治水上の安全面やその効果はご理解いただけていますが、下流域の環境負荷、とくに鮎への影響などに対しては、まだ心配されている方もいらっしゃいます。 したがって、ダム建設を進捗させていく上でも、環境に配慮して施工を行っていることを積極的にPRしていくことが非常に重要だと考えています。 そうした中、前田建設JVさんからいただいた技術提案の1つである濁水処理施設『アクアフィルターシステム』は、環境配慮型施工を掲げる上で極めて大きな説得材料になっています。 現場見学にいらした方々には、処理水で飼育するヤマメが元気に泳いでいる姿をご覧いただくなど、濁水処理の効果をご理解いただき、安全を可視化することにも役立っています。
■信頼される前田の取り組み
地域の方々との相互理解については、前田建設JVさんが着工当初より最上町と災害協定を結んでいただいたことが非常に大きなポイントとなっています。 一昨年、川が氾濫したときも、一週間にわたって緊急支援活動を行ってくださり、住民の方々とは強固な信頼関係を築いています。 今年は下流域の舟形町とも災害協定を結んでいただけるなど、たいへん心強く感じています。 最初のうちは、ダムづくりの人々が来るということで、地元の方々は心配な部分もあったようです。 現場以外での評判が悪いと地域の方々はダム建設事業に対し、不信感を抱いてしまいます。 ところが、職員の皆さんは地元の方々と積極的な交流を重ねていただいて、今では、何かあれば住民の方から気軽に相談できる関係づくりができています。 今後も引き続き、地域の方々との密なるコミュニケーションを維持していただければと思います。 流水型ダムは日本でも前例がわずかで、特殊性に富んでいます。そうした中でも、効率化を図り、安全と品質に長けたダム建設をお願いしたいと思います。
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山形県最上総合支庁 建設部 河川砂防課 最上小国川流水型ダム建設室 最上小国川流水型ダム建設室長
工藤 哲氏 |
山形県最上総合支庁 建設部 河川砂防課 最上小国川流水型ダム建設室 ダム建設主査
土田 剛氏 |
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