ストーンカッターズ斜張橋工事#4

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全長1,596mの長大斜張橋が香港のランドマークになる

工期短縮と安全対策

 工期短縮は、この現場でも大きな課題である。そのためにさまざまな工夫を重ねている。
 雨の日は、作業スペースにシェルターをかけて作業する。暑い日は、扇風機で送風して作業する。雷対策として避雷針を設置したので、雷のとき作業を止めることはないが、常識的に考えて鋼製の橋の上での作業が危険だと判断したときは作業を中止する。ただし、この現場は風が強いので、秒速15m以上のときは上空作業を中止する。また、濃霧のときは、鋼桁のリフトアップを中止する。強風や濃霧の対策の背景にあるのは、安全への配慮である。

ストーンカッターズ橋作業所

Site Agent(現場代理人)Braian West

「ストーンカッターズ橋」は、世界的規模の現場です。過去に誰も経験したことのない規模と工法に、奮い立ちました。これまで2社のJVしか経験していなかったので、4社JVのマネージメントや、協力会社が中国系企業であることなど、私にとってチャレンジすることがたくさんあります。JV4社から優秀な職員が集められ、すべてがうまくいっているので、当初心配していたことは、すぐに解消されました。国により気候や宗教などのバックグラウンドが違っても、ものをつくることに変わりはありません。完成したら、真っ先に渡ることを楽しみにしています。

環境対策

 この現場では、ISO14001に基づく環境保全の一環として、建設物廃棄物の現場からの排出を抑制し、最終的には「廃棄物ゼロ」達成を目標とする「4Rシステム(Reduce:削減、Reuse:再利用、Recovery:再生、Recycle:資源再利用)」などの環境保全対策を実施している。具体的な取り組みとしては、コンクリートバックスパン建設時に架設支保工に使用したコンクリートブロックの一部を海中に投下し、人工漁礁として再利用する計画も、漁農自然護理署との間で進めている。この活動が評価され、「2005年度環境企業賞」の建設会社部門で金賞を受賞した。
 現場には世界中から資材が搬入され、日本や香港をはじめ、中国本土、フィリピン、ネパール、スイス、オーストラリア、ポルトガルなどの人々が建設に携わっている。約700万の香港市民と、香港を訪れる世界中の人々の注目を浴びながら、2009年3月の閉合、2009年10月の竣工を目指し、工事が着々と進んでいる。
 「ストーンカッターズ橋」が香港の新たなランドマークとなり、ライトアップされて100万ドルの夜景に彩を添える日は近い。

ストーンカッターズ橋作業所

Agness Au

この現場では、10人のスタッフと一緒に、車両の手配や事務所の管理など発注者のご要望にお応えしています。発注者と現場事務所とのよい関係をつくり、現場をバックアップすることに、やりがいを感じています。

環境企業賞受賞
記念パネル

ストーンカッターズ橋

所 長 花田 紀明

 入札には、世界の主要なゼネコン、橋梁メーカーで構成された5つの企業連合体が参加し、入札価格と技術・工事実績評価(50:50)を、それぞれ勘案する総合評価システムがとられました。前田建設・日立造船・横河ブリッジは、過去にも香港でJVを組み、道路鉄道併用斜張橋では世界最長級の「カプスイモン橋」を建設した実績があります。青衣北大橋など香港における前田建設の実績とあわせて、当JVの技術力が高く評価されたことにより、落札できました。
 この現場では、さまざまな国の人々が働いています。現場で直接建設に携わる人々も、現場を支える事務スタッフも、一人ひとりが自分の仕事に責任を持ち、創意工夫を重ねることで、「ストーンカッターズ橋」竣工という達成感を味わいたいと願っています。

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