台北地下鉄松山線CG590A工区
建設工事#4

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日本の安全・環境管理手法で 台湾の厳しい要求に応える

 台北地下鉄工事では安全衛生に厳しい基準が設定されているため、前田建設は日本式の手法を取り入れ、安全・環境管理に着実に取り組んでいる。

■安全管理
 安全管理には、基本の徹底を行っている。朝礼では安全帽・安全帯・安全チョッキ着用などを確認。現場では、危険箇所に中国語、タイ語、日本語で「頭上注意」などの掲示を行い、作業員の注意を喚起し、安全パトロールで清掃や整理整頓を指導。新たに現場に入る作業員には6時間の安全講習を義務付けている。
 このような取り組みが認められ、2009年には台北市地下鉄局より「連続2年0死傷重大事故表彰」、台北市労働検處より「台北市労働者安全衛生管理優秀機関」、行政院労委会より「全国優良工事安全管理者」など受賞。2010年には、台北市労働検處より「台北市工地自主管理特別優秀賞」「台北市ダイヤモンド級現場主任賞」を受賞した。

■環境管理
 現場から泥土を搬出する際にはダンプトラックを洗浄し、現場周辺の道路を清掃するほか、現場の緑化や坑内の整理整頓など、積極的に対応し環境管理を心がけている。これにより、台北市環保局の「5S清潔競技」で2008年から3年連続で表彰を受けた。
 さらに、ローカルスタッフが中心となって近隣との良好な関係を築き、積極的に現場見学会を開催するなど、台北市民のみなさまから工事への深い理解を得られるよう努めている。

■全線の軌道・管制設備工事
 前田建設は、松山線全線の軌道工事、管制設備、空調などの仕上げ工事も受注した。全線完成後、日系企業が施工している他工区に入って施工し、完成させる。日本では、軌道工事は専門業者の仕事なので、海外ならではの貴重な経験になるだろう。
  現在の松山線CG590A工区の進捗は40%。2010年末から2011年にかけて工事のピークを迎え、難工事が続く。前田建設は、今後も安全を第一に、高品質の地下鉄を建設する。

 

現場内危険箇所での3カ国語掲示板

標準化されている安全対策の掲示

台北地下鉄松山線作業所 渉外公開 葉 國榮

都市土木では近隣への配慮が大切です。この現場は2.9kmのヤードが道路の中央にあるので、毎日3回バイクでパトロールして事故を未然に防ぐよう努め、交通や振動・騒音などのご要望に24時間体制で対応しています。また沿線の18里長(隣組)のお祭りや野球大会に参加し「仲良し活動」で友好関係を築き、里長や大学の建築科や土木科の見学にも対応しています。これからも工事をスムーズに進めることができるよう、渉外でローカルの力を発揮して協力したいと思います。

台北地下鉄松山線作業所 安全衛生経理 賴 柏■

台北地下鉄松山線作業所 安全衛生経理 賴 柏■

台湾の労働安全衛生法は1974年に、日本の労働安全基準法を模して制定されました。日本と比較すると台湾の労働安全の意識はやや不足している面が見られますが、小田切所長から日本式安全管理の資料をいただいて、作業員に安全衛生の教育を行い意識を高めています。その結果、政府、台北市、労働検處から高い評価を得ています。私自身も台湾全国の安全衛生の表彰を毎年受けました。仕事を任されて取り組み結果を出すことができ、とてもやりがいを感じています。

台北地下鉄松山線作業所 所  長 小田切 俊一

台北地下鉄松山線作業所 所  長 小田切 俊一

台北は地下水位が高く、台風による水害も多いので、これまでに地下鉄の施工をした日本企業も苦労してきました。この工区は、地下35mまで掘削する駅の建設や、シールドトンネル建設での3カ所の障害物撤去など、いくつもの難工事があります。台北地下鉄の工事では、日系企業が単独で施工するのは当社が初めてということもあり、いかに施工をするかが問われています。今後もこれまで同様、安全を第一に、工期を守り、無事に高品質の施工をして、前田建設の技術力を示すことを心がけます。台湾ではこれからも地下鉄の建設が進むので、高雄地下鉄と台北地下鉄での経験を次の仕事につなげたいと考えています。

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