飯田橋駅西口地区
第一種市街地再開発事業
業務・商業棟および住宅棟新築工事#4
■住宅棟
建物用途/住宅、駐車場
建築面積/2,592.34m2
延床面積/68,523.74m2
最高高さ/149.14m
構 造/鉄筋コンクリート造(4階以上プレキャスト造)
階 数/地上40階、地下2階、搭屋2階
総 戸 数/505戸
住戸の間取りは1LDK~3LDKで、「粋美」「エスプリ」のコンセプトにより3つのグレードでデザインされ、1~3階にはゲストルームやパーティールームなど充実した共用施設を完備します。 |
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住宅棟は、多くの超高層マンションの建設実績を持つ前田建設が長年にわたり工夫を重ねてきた「MARCーHシステム」を用いています。このシステムと制振装置を組み合わせることにより、地震や強風に強く、安全性、快適性を兼ね備えた建物になっています。超高層マンションの建設では、部材を極力工場生産し、現場で組み立てるプレキャスト(以下、PCa)積層工法を採用することで工期短縮と高い躯体品質を確保しますが、この現場では従来のPCa適用部材だけではなく、これまで在来工法を用いてあと施工していた複雑で細かい部材についても徹底的にPCa化を図りました。前田建設のPCa積層工法は、高品質な工場生産範囲を増やしながら、労務不足の時代に適応すべく、さらなる進化を目指しています。
そして現場でコンクリート打設を行うPCa部材のジョイント部分には樹脂型枠を採用しています。樹脂型枠は軽量で強く、転用回数が多い上に、使用後はリサイクルすることができる環境配慮型の型枠工法です。また取付けの合理化を図ることにより、型枠工を必要としない躯体工事を実現しました。

建物の外側に600tタワークレーン2基を設置し、PCaを安全に揚重するために緊急地震速報システムを導入。地震発生時にはクレーン、リフト、避難階にサイレンと放送で警告を発し、安全を確保しています。
PCa工法の施工計画は、PCa部材の取り付けから仕上げ工事までの各タクトを最も効率的に進められる施工サイクルを考えました。躯体サイクル工程は、①柱PCa建込、②梁PCa取付、③PCa床板取付、④スラブ配筋、⑤配筋検査、立体駐車場組立、外部足場迫り上げ、⑥コンクリート打設の6工程と同時に行う仕上げ材の先行揚重を含めて6日としています。
また、前田建設ではICT技術の活用に力を入れていますが、この現場では、躯体工事に配筋検査システム、仕上げ工事に内装検査システムを採用し、複数(作業所・社内・設計監理・発注者・購入者内覧等)行われる検査を一貫して共通のシステムで行うことにより、合理的に高いレベルの品質管理を実現しています。

最上階の住戸は都内屈指の高級仕様です。仕上げ材にはこだわりの建材を厳選し、技術的にも珍しい趣向を凝らしています。たとえば、鏡面塗装の木製建具、トルコ産の貴重な輸入石材、主に箪笥の材料として使われる柔らかい栓の単板に塗装を施し強度を確保したフローリング、金沢の金箔や漆塗の床の間など。洗面所の床には、白い大理石に30㎜角の掘り込みを行い、黒の大理石をはめ込んでいます。このような高級建材の施工や品質確保には細心の注意を払い、デザイナーのこだわりを実現しました。
「次世代省エネルギー基準」等級4(最高等級)に適合する高断熱仕様で、快適な住環境を実現。また、設備面では、ドイツ製のシステムキッチンや洗面化粧台を採用しています。
前田建設はこれからも超高層住宅におけるPCa施工技術の合理化を追及していきます。また、躯体から仕上げまでの全プロセスにこだわる高い品質意識をもった職員を育成することで、皆様に良質な住環境を提供していきたいと考えています。
※MARC-Hシステムは、高さ60m以上200mクラスまでを対象とした超高層RC造集合住宅の設計・施工システムです。地上部の主要躯体は柱・梁・床スラブで構成し、免震装置や制振装置との併用が可能。主要躯体のPCa化による合理化施工で、高品質・高耐久性を確保できます。 |

細部まで工場で作り込むフルPCa
工場で製造できる部分はすべてPCa化。手すりの立ち上がりや排水溝(写真下)、床段差(写真上)をPCa化することであと工程(鉄筋・型枠・左官工事等)をなくし、廃棄物を削減。

PCa部材のジョイント部に樹脂型枠をセット
樹脂型枠の採用により、人手不足の型枠工に頼る作業をなくした環境配慮型の省力化型枠工法。

制振装置設置状況
4~39階に制振部材である粘弾性ダンパー130基を設置。2枚の鋼板に挟まれた粘弾性体が変形することにより、地震や強風のエネルギーを熱エネルギーに変換し、建物の揺れを低減します。

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ロイヤルプレミアムクラスからラグジュアリークラスまで多彩なグレード設定をしています。
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グランドホールなどの共用空間デザインは、世界中の名だたるラグジュアリーホテルを数多く手掛けるアメリカのHBA(ハーシュ・ベドナー・アソシエイツ)が担当。グランドホールはモダンで豪奢な「洋」のデザインに、「和」の江戸小紋や籠目を取り込むことで、「エスプリ」を醸し出します。 |
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飯田橋再開発作業所
住宅棟工事
所長
浅川 勝弘 |
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