INTERVIEW新しいことへの
挑戦が、
成長を
加速させる

土木施工管理 / 2009年入社

稲生 秀

中学の頃より、祖父の仕事の関係もあり建設業界に興味があった。進学した大学の土木工学科在学中、新潟中越地震の災害復旧に関する報道を見て、有事の際の生活を守る建設業界へ憧れを感じてゼネコンを志望。前田建設は、面接等を通じて、新しいことに柔軟に取り組める企業文化があると感じて入社を決めた。

東京・東池袋4丁目の再開発プロジェクト。
新築マンションと地下鉄の駅を接続する。

現在の仕事内容を教えてください。

現在、私が携わっているプロジェクトは、東京・東池袋4丁目の一角で進められている再開発事業です。この地区は元々木造住宅が密集していたエリア。地区内の細分化されていた宅地を共同化し、36階建ての新築マンション建設によって高度利用することで、不燃化による防災面の強化を図ることがプロジェクトの目的の一つです。この新築マンション建設を手掛けるのが前田建設の建築部門。また、プロジェクトでは周辺居住者の利便性向上のため、東京メトロ有楽町線「東池袋」駅出入り口のバリアフリー化を図るとともに、「東池袋」駅と新築マンションを地下で直結することが計画されています。私が担当するのが、この接続工事です。現在は、設計、施工計画立案、関連企業者協議を行っている段階。工事は用地外の東京都が保有する道路の地下に手を加える工事となるため、東京都との協議、各種手続きが必要であり、設計も含めた検討を進めています。着工は東京オリンピック・パラリンピック終了後の2020年10月頃を、完成はマンションの竣工と同じく2022年3月を予定しています。

地下を走る埋設物にいかに適切に対応するか。「都市土木」特有の難工事に向けて。

現在の仕事で難しい点を教えてください。

着工に向けて最初に手掛けたのが試掘調査。地下に手を加える工事の場合、都市部において懸念されるのは埋設物です。考古学的な埋設物が発見されることもありますが、私たちが見極めたいのは、電力や電話ケーブル、ガス管、水道管等のライフライン=埋設物がどの位置に、どのように走っているかという点。工事が、それらライフラインに干渉することは絶対に避けなければなりません。しかし、埋設物を移動することはできません。埋設物を吊りながらその下を掘り下げる工法を採用する予定ですが、そもそもどうやって吊るか、吊った際の防護方法はどうするのか、埋設物関係企業者間と協議を重ねて確定する作業を進めています。さらに現場はマンション工事現場に隣接しており、工事ヤードは制限され、一般車両の通行規制も必要になります。すぐそばを都電が走っており、工事進捗に応じて、運行への留意も必要です。いわゆる「都市土木」特有の難工事が予想され、着工に向けて綿密な工事計画を立案していきたいと考えています。

技術責任者「監理技術者」として初めて臨んだ現場。
生産性向上、効率化を目指した「CIM」の取り組み。

これまでで印象に残った出来事を教えてください。

私は入社以来、数多くの土木工事現場を経験してきました。その中でも、入社8年目に初めて「監理技術者」として臨んだ、千葉県・木更津の雨水ポンプ新設工事は強く印象に残っています。「監理技術者」とは、一定規模以上の工事現場に配置することが義務付けられているもので、工事の技術を統括する責任者。私がこの現場で発注者と協働で試みたのが、CIM(Construction Information Modeling)です。建築分野で進められていたBIM(Building Information Modeling)に倣ってスタートしたもので、BIM同様に3次元モデルを導入し、設計、施工、維持管理等の各段階を連携・共有することで、一連の建設生産システムの効率化、生産性向上を目指すフレームワークです。元々「CIM」は、発注者と当社が共同研究を進めてきたテーマで、その成果を現場に反映させるという挑戦的な取り組みでした。その結果、当初予定した2年半の工期を2ヶ月短縮することができました。完成後にCIMの取り組みを土木学科で発表、また優良工事表彰を発注者からいただくなど、多くのことを経験できた現場でした。

濃密な2年間を過ごした現場。
徹底して考えメンバーと共にものをつくるやりがい。

仕事を進めていく上で大切にしていることは何ですか?

木更津・雨水ポンプ新設工事は、私にとってターニングポイントとなりました。現場では、所長の次のポジションである「次席」、発注者やJVを組む他社から常に見られている立場であり、「前田」の看板を背負っている責任感と緊張感が常にありました。そうした責任感から現場のすべてを把握し、2~3ヶ月先を読んで自ら主体的に動くようになったと思います。所長以外は若いメンバーが多かったため、指導に苦労したものの、若手を育成することの大切さも改めて実感。非常に濃密な2年間を過ごした現場であり、技術者としても人としても視野が大きく広がり、確かな成長を手にできたと思っています。私が大切にしているのは、どんな事柄でも自分が納得できるまで徹底して考えること。チームのメンバーにも、同様に十分に理解・納得してもらってから仕事に臨めるように指導、対応しています。それでも最適な答えが見つからない場合があります。その中で、メンバーでフォローし合い、協力し合って課題を解決し、ものをつくっていく過程にやりがいを感じています。

ある1日のスケジュールOneday Schedule

7:30

作業所出勤。

メールチェック。

8:00

マンション建築チームの朝礼に参加。

8:30

着工に向けた打ち合わせの準備。

9:30

外出。

10:00

通信キャリアと打ち合わせ。

工事の際の地下ケーブル(埋設物)対応確認。

12:00

昼食。

13:00

役所担当者と打ち合わせ。

申請手続き、申請書類等の確認。着工に向けた諸課題の共有。

15:00

帰所。

工事工法及び工程の検討。

17:00

マンション建築チームの夕礼に参加。

17:30

建築チームとのミーティング。

進捗確認等。

18:30

退社。

今後のキャリアについてCareer

経験を積み、新規事業の開拓へ

工事現場の所長は経験したいと考えています。また、大学時代の卒業論文のテーマである「耕作放棄地で稲作し、農作物を海外に輸出した場合の日本国内経済への影響分析」で着想を得た、「脱請負」につながるような新規事業を手掛けてみたいと思っています。日本の抱えている問題を建設業で解決できる分野を見つけ、開拓者として事業化するのが目標です。

※所属およびインタビュー内容は、取材当時のものです。

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